出版社内容情報
諸々の環境問題の根本原因を、具体的なものから考えていく。環境思想の最新の知見も踏まえた入門書。
内容説明
1980年代以降、環境問題に取り組むための学問である「環境学」は、発展しながら次々と細分化していった。そして今、そもそも「環境を守るとは?」といった根本を考えることが必要な時代がきているのではないだろうか。若手研究者が、カブトムシ、クジラ、原発といった具体的なものから環境思想を語る。初学者にもわかりやすい入門書。
目次
序論 「環境思想」とは何か
第1章 「環境」とは何か―「自然環境」「社会環境」「人間」の関係性
第2章 環境問題を「道徳的に考えること」を考える―自然の内在的価値概念の意義と限界
第3章 野生の「クジラ」と人間の「鯨」―「自然の価値」から共生を考える
第4章 カブトムシから考える里山と物質循環―「自然の社会化」と「コモンズ」
第5章 原発公害を繰り返さぬために―「環境正義」の視点から考える
第6章 私たちの「環境」について改めて考えてみる―持続可能な発展の視座をきっかけにして
著者等紹介
尾関周二[オゼキシュウジ]
環境思想・教育研究会会長。1947年生まれ。東京農工大学名誉教授。環境哲学、共生哲学、人間学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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FOTD
19
著者のことも何もかも知らずに手に取った本。哲学的というか倫理学的というか、そんな感じで環境問題を考える本だった。第3章の「クジラ」や第4章の「カブトムシ」は、普通なら動物愛護の視点で語られることが多いと思う。「環境を守る」とは、社会的、経済的、政治的、な問題も考えていかなくてはならない。すぐに答えが出るものではない。自然を壊さずに、私たちが生きていける社会はどうすれば実現するのだろうか。2023/02/23
Koichi Yamashita
2
合言葉の様に語られ様になった「環境を守る」って言葉を人が使う度にいつもモヤモヤした違和感を覚えていたが、少し靄が晴れたが更に勉強したくなった。こちらの本で紹介されてた参考文献も借りて読みたいと思う。2017/11/16
牛タン
1
環境思想の概要。数10ページ程度なのでサクッと読めるが結構難解に感じた。環境とはそもそも何か、環境倫理、捕鯨問題、里山、環境正義、持続可能性2019/03/20
call
1
環境思想について簡潔にまとめてある。環境思想とは「全体的な捉え方やつながりを重視する考え方である」とし、環境を守るという考え方について抽象的なイメージを提供している。僕はあまり環境研究とかそれに類する学問に触れたことがなかったので環境保護の思想的枠組みに触れられたのはよかったと思う。2017/03/21
Hisayoshi Ikatsu
1
環境思想、環境哲学、環境倫理について簡単にまとめたブックレット。環境問題を解決するためには哲学的問いが必要だとは思うが、言葉の意味をこねくり回すだけでは環境問題は解決できそうにないですね。哲学から実践への繋ぎが難しいです。2017/01/31