出版社内容情報
予防注射が原因でB型肝炎に罹患した被害者は40万人以上。空前の行政犯罪の全貌と、補償をもとめる患者のたたかいを報告する。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
扉のこちら側
90
初読。2015年1111冊め。遅くとも1948年の予防接種法制定時には、厚生省は肝炎が血液感染であることを知っていて、だからこそ「一人ごとに針を消毒するように」と定めていた。しかし現場へ指導されることはなく、学童期の集団予防接種により推計140万人もの感染者を生み出す悲劇となってしまった。訴訟が終わってもウイルスは消えないが、キャリアであることを隠さずに生活できる社会を願う。尚、B型肝炎ウイルスは感染力が強くわずかな血液で感染するが、実際はそれこそ注射針等で体内に取り込まない限りは日常生活では感染しない。2015/11/02
寺(ご無沙汰しかしてない)
76
たまには勉強せねばと、これを読む。何かをコンパクトに知ろうと思った時、こういうブックレットというのは有効だなぁと思う。B型肝炎という病気は感染して悪くすると肝がん等に進行して死に至る事もある。母子感染や性交渉感染の他に、注射器や針による感染がある。第1章は予防接種で感染した方々が国を相手取り戦った訴訟のドキュメント。厚生省の杜撰な指導で注射器や針が使いまわしされていたのだ。被害者の方の辛い思いが痛い。2章は拡がった背景の考察。3章は医師へのインタビューによる病気の解説。一生に一度は検査をとの事。2015/11/06
壱萬参仟縁
26
裏表紙によると、WHOは予防接種の際、注射器使い回しで伝染するとしていたが、80年代まで日本では使い回していた。驚愕の事実。注射針の取り替えは規定されていたが、針の一人ごとの消毒、取り替えはなされないままだった。また、注射筒も長い間、連続使用が許されていたという(25頁)。ツベルクリン反応検査および結核予防接種においては、針取り替えの告示自体がなかったことにされていた(30頁)。最高裁で予防接種の可能性があると認められ、国に賠償責任があるという判決(50頁)。2015/12/20
荒野の狼
5
私は、長年、大学の医学部でウイルス学の教育と研究をしております。本書は、2015年出版の64ページの冊子で、B型肝炎が日本で集団接種によって広がった経緯が書かれており、数時間で読了できる内容。欧米では、すでに1948年当時、血清肝炎を防ぐためには注射針・筒の交換が必要との医学的考えが確立していたp27.同様に、日本でも、1948年と1951年に注射針・筒による肝炎の感染の危険が論文化されていたp28。2023/05/29
Reee
2
ブックレットを初めて読んでみた。興味深いけどあまり詳しくない、だけど知りたい、その渇望に対する導入として凄い有効だと思う。B型肝炎の歴史(国家の愚策も含めて)知ることができたし、たくさん刊行されているので他の分野も読んでみよ。2020/12/09
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