出版社内容情報
幼い息子が奇病にかかり10余年の命と宣告された-理不尽と思える不幸にみまわれた宗教者(ラビ)が絶望の淵で問う.神とは,人生とは,祈りとは何か.悲痛の体験をもとに旧約聖書を読み直し,深い叡知と生きる力を掴みとる.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Gotoran
21
我が子を早老病という難病で失ったユダヤ教のラビが、ヨブ記を引きながら、神とは、信仰とは何か?と問い、深く思いを巡らせた本書。著者は、ラビであるが故、神について語るが、語っていることは(ユダヤ教を超えた)、すべての宗教ににもいえる普遍的なものと感じた。あらゆる宗教は、起こったことは全て神の摂理であると神の論理から諭すのではなく、苦しむ人を癒し・慰めるためにあるべきと(著者は)云う。苦しんでいる人に接する時に、また自分が苦しんでいる時に、どう在るべきかということを教示してくれ、示唆に富む良書。2013/09/07
tkkr
7
斉藤和義さんの「ベリーベリーストロング」を聴こう。「自分の仕事が一番辛いと思う奴にはならない」。2017/10/06
デューク
5
「ほとんどの人々の心の痛みに対し、伝統的な宗教はあまり役に立っていない」。難病で幼い息子を亡くした筆者が語る、悲劇や苦しみを乗り越えるための手段とは。 世界は理不尽だ。信仰篤き者、善良な者、正しく生きようとする者ですら、悲劇に見舞われ、悲しみに暮れる。苦痛の全てがその人のためを思って与えられたものとは限らず、人は災難が自分以外の他人にふりかかったことを、戸惑いを覚えつつも喜ばずにはいられない。では神はいないのか、祈りに意味はないのか。現代のヨブ記ともいうべき一冊。いちおし2017/07/19
燐寸法師(Twitter @matchmonk)
2
「僕はどうしたら自分の信仰を守ることができるか」ではなく、「僕はどうしたら神がいるように振るまうことができるか」を教えられる本だった。亡くなった人達が「悪魔の殉教者」になるか「神の殉教者」(D.ゼレ)になるかは、残された人間の態度に委ねられているという事の重みを考えた。2022/02/20
Akiko Shimizu
2
胸打たれた。自分は不幸だと思っていたけど、違った。そして今までの自分は、相手を励ますつもりで、かえって相手が自分を責めるように仕向けていたのではないか。この本を、これからの生き方に生かしていこう。2013/11/13