出版社内容情報
他界と交流する巫女や行者たちの信仰と修行,儀礼的登山,治療行為などについて,入念な現地調査と膨大な文献研究を結実させ,日本的シャーマニズムの全体像を鮮烈に描く.英国の著名な日本研究家による画期的研究.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
佐倉
9
1950年代に来日した英国人学者による日本シャーマニズムの解説と実例を著述した一冊。上巻では憑き物、古代のシャーマンの復元、苦行、イタコなどについて語られる。著者が実際に出会った人物との会話が引用され、宗教者や呪術が戦後日本でどのように運用されていたのかが見えてくる。興味深かったのは第7章で近代以降の新宗教の沿革を書く中でトランスを起こした女性教祖と教団の躍進の際に現れる熱心な男性信者の関係を序盤から話題にしていた古代から中世にかけての憑坐と審神者の関係と対置的なものとする仮説を建てるところ。2024/09/28
tama
5
図書館本 シャーマンに興味あって 残念 なんか外国人向けのビックリ日本ガイドブックみたい。怪しいと思って調べて初めて知ったこともあるから文句はないけど。権現は神って知らなかったし、北極ヒステリアから文化依存症候群と言うのも初めて聞いた。インドネシア辺りでよく起きる悪魔憑きとかですね。ゴミソと言う言葉も初めて聞いたけど、要するに「拝み屋」の東北語ね。大元神楽って語はお初だけどそういう神楽なら知ってる。と、いう程度の期待感でならいいかもしれない本。2021/07/05
Quijimna
1
日本の古代からの霊媒、祈祷、呪術の汎アジア的共通点が興味深い。それにおけるアイヌ的基層への言及も。イタコの評価だけが低かったのがちょっと意外。★★★☆☆2010/04/18
エリック
0
イギリスの日本史学者が憑依型、脱魂型双方のシャーマニズムを中心とした日本の民俗について、自身による聞き取りと修行経験、豊富な文献調査をもとに非常に幅広く述べる。具体例が多く本人の分析はあまり含まれないが、それは本書の調査が始まった1960年代から出版された1979年の間に目に見えて破壊・衰退されていった日本のシャーマニズムを記録し遺すことを目的としているためである。これは日本のシャーマニズムを殆ど知らず、適切な参考文献を知りたい読者、また色々な論を読んだあと事実の記録から復習したい読者には最適である。2016/06/16