出版社内容情報
廃止か,保持か――日本降伏をめぐる諸外国のさまざまな天皇観の対立,相剋をはじめて明らかにし,戦後改革を伝統社会の変容のドラマとして解明した本書は,日本人の思考と行動様式を考えるための必読書でもある.
内容説明
廃止か、保持か―。日本降伏をめぐる英、米、オーストラリア、中国など連合国側のさまざまな天皇観の対立、相剋をはじめて実証的に明らかにし、戦後改革を伝統社会の変容のドラマとして解明した。戦後史ばかりでなく、日本人の思考と行動様式を考えるための必読書である。
目次
第1章 アメリカ国務省における天皇観の対立
第2章 イギリス人にとっての天皇制
第3章 太平洋問題調査会の天皇論
第4章 「天孫民族の世界制覇」観とオーストラリア
第5章 中国人と日本の「覇道」主義―補遣 韓国独立運動における天皇観
第6章 無条件降伏の「鍵」
第7章 占領政策と天皇制―「伝統主義的支配」変革のドラマ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
wuhujiang
1
連合国各国の天皇観を概観したのち、無条件降伏と占領下の天皇制について記述されている。結果的に統治の現実を見据えたアメリカその他の首脳たちによって天皇は民主主義の象徴として残されたわけだが、その結論に至るまでに各国に存在した天皇制廃止論と知日派の天皇擁護論の相剋があったことを論じる。日本側も天皇制存続を望む声が大多数であった一方、"立憲君主制による天皇"といった今までと異なる姿を受け入れる準備があった。これは戦前の大正デモクラシーによって国民に立憲君主制の源流が流れていたからという考察がされている。2025/03/21