出版社内容情報
日本人にとって,戦後とは何だったのか.焼跡の貧しく奇妙に自由な時代に活躍する作家たちを同時代者の眼できびしく,ユーモラスに描き,文学者の戦争責任,政治と文学などを論じ,戦後体験を思想として定着させた名著.
内容説明
二・一スト中止、太宰治自殺、朝鮮戦争…。冷戦の谷間で日本の「戦後」は展開し、文学者たちの文学と思想をめぐる闘いも激しさを加える。大岡昇平、武田泰淳、伊藤整、三島由紀夫、竹内好、安部公房らの活躍が新しい時代を感じさせ、「物語」も作家たちの行動と性癖を余すところなく描き、いよいよ佳境に入る。
目次
石上玄一郎の孤独な歩み
戦争体験の分析者大岡昇平
「滅亡」の認識に出発する武田泰淳
伊藤整の前衛的な理論と実作
戦後派ならぬ戦後派三島由紀夫
戦後文学転機の年
民主主義文学内部の分派闘争
「国民文学」をめぐる論議
国士的風貌の論客竹内好
戦後史の転機としての朝鮮戦争
伝統を切断する鬼才安部公房