同時代ライブラリー<br> 歴史小説論

同時代ライブラリー
歴史小説論

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  • サイズ 新書判/ページ数 277p/高さ 18X11cm
  • 商品コード 9784002600475
  • NDC分類 910.26
  • Cコード C0395

出版社内容情報

井上靖との「蒼き狼」論争を経て,鴎外の史伝小説を論じ,歴史小説の可能性を追求し,文学・思想状況を挑発しつづけた作家大岡昇平の今なお問題提起の鋭さを失なわない文芸評論の精粋を新しく編集した.解説=蓮實重彦

内容説明

作家大岡昇平の晩年、30年にも及ぶ「歴史小説」にたいする博捜は徹低を極めた。その真摯な思索は透徹し、洞察に満ち、また同時代の文学・思想状況へ生き生きとした目配りがあり、その論の行くところにはいつも知的な興奮が湧き起こった。たえず小説と批評の間を往還した文学者大岡昇平。その文学の醍醐味を一冊とした。

目次

1 歴史小説論(歴史小説の発生;日本の歴史小説;歴史小説の美学;歴史其儘と歴史離れ;江馬修『山の民』;現代史としての歴史小説;歴史小説論;歴史小説の問題)
2 森鴎外(『堺事件』疑異;『堺事件』の構図―森鴎外における切盛と捏造;『堺事件』批判その後)
3 文学表現の特質

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

harass

24
大岡昇平の歴史小説の評論を独自にまとめた本で、後半の森鴎外の歴史小説についてがいろいろおもしろい。  『歴史其の儘』を謳う森鴎外の歴史小説が『都合よく』『捏造』してあることを指摘する。主に『堺事件』を取り上げ、鴎外蔵書の史料と内容の突き合わせをやっている。小説として細かい変更は必要だが省略・変更部分などの指摘と推理が、軍医総監鴎外の『体制イデオローグ』を浮き上がらせる。スリリングな知的遊戯でニヤニヤしつつ読みふけった。 この手法はバルトのテキスト批判の見事な実践だと読後に気がついた。解説は蓮實重彦。2014/09/19

Toska

10
正直、自分などの手には負えない理論的な細目が多かったが、腑に落ちたポイントもいくつか。中国では古くから神話や叙事詩を排した歴史記述の伝統が成熟しており、日本もその直接的な影響を受けている。日本の歴史小説に奇妙な客観主義、文献主義が見られるのはこのためだという。歴史学者は創作に寛容であるのに、寧ろ作家の方が「事実」にこだわっているとの指摘は興味深い。2023/05/08

モリータ

9
◆1990年刊。1982年岩波書店刊『大岡昇平集14』を再編集したもの。1964~1975年までの著者の歴史小説に関連する論13篇を収録。ふと「堺事件」など鷗外の歴史ものを再読したのでついでに読む。◆第一部中、「歴史小説の発生」~「現代史としての歴史小説」の6篇は連載によるものだが、学術論文ではなく、各篇のつながりも一篇の内容も読み取りにくい。続く独立の解説「歴史小説論」の方がわかりやすかったのと、小谷野敦の『リアリズムの擁護』『現代文学論争』の大岡昇平論を読んで大岡の立場、言いたかったことが理解できた。2020/06/18

saladin

2
”歴史其儘”か”歴史離れ”、どちらのスタンスを取るのか。これは確かに歴史小説を扱う際に悩むところなのだろう。だがこれは当然ジャンルにもよる。剣豪小説や伝奇小説などに”歴史其儘”は求められないだろう。歴史はリアリティを増すために背景として描かれるだけのもので、読者はそれを分かった上で読んでいる。問題なのは、まるで”歴史其儘”であるかのように見せかけながら意図的に歴史を捻じ曲げて書かれている作品。これは読者を誤った方向に導く可能性がある。だからこそ、執拗に森鷗外の『堺事件』を批判しているのだろう。2017/06/25

寛理

1
☆☆☆☆☆ 俺のここしばらくの大岡への傾倒は、この文庫本の蓮実の解説を通したものだと改めて実感。2019/08/15

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