出版社内容情報
儒者を中心にした近世随筆集.伊藤仁斎が自らの思想を端的に書きとめた「仁斎日札」,対馬藩儒雨森芳洲の「たはれ草」,本居宣長へ深い影響を与えた堀景山の「不尽言」.菅茶山「筆のすさび」,鈴木桃野「無可有郷」を併収.
内容説明
己の人生観と現実批判とをおもうがままに述べるを旨とした儒者の随筆は、近世を通じて最も真摯な文学であった。伊藤仁斎、雨森芳洲ら代表的儒者の作品5編を収録。
目次
仁斎日札
たはれ草
不尽言
筆のすさび
無可有郷
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
きさらぎ
3
仁斎日礼(伊藤仁斎)とたはれ草(雨森芳洲)だけ読むつもりが、結局残りの堀景山、管茶山、鈴木桃野も読んでしまった(笑)「仁斎日礼」は「童子問」の前に書かれたということで基調は同じと思われる。「惟愛のみ、以て仁を成すべし。惟断のみ、以て義を制すべし」仁斎節。芳洲の「たはれ草」は平易な和文で書かれた随筆。対馬に住み朝鮮との交流に携わった著者の、和韓の比較や世情の観察や慨嘆をつれづれに語る。滋賀に生まれ、江戸に学び、対馬に暮らし、異国と交わった芳洲の言葉は、とても公平で冷静な印象がある。2015/08/13