出版社内容情報
原発事故後のチェルノブイリの森でたくましく生きぬいた子犬のゾーヤと、その子ミーシャ、そしてゾーヤの飼い主だった少女ナターシャの運命を追う壮大な物語。野生のオオカミやクマやヤマネコがすむ森でくりひろげられる動物たちのスリルあふれる冒険の歳月を、カーネギー賞作家が生き生きと描く。挿絵はキース・ロビンソン。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
chimako
73
【第36回読書感想画中央コンクール指定図書】チェルノブイリ原子力発電所の事故で取り残された犬たちの生き延びるための死闘。オオカミ、山猫、熊、ヘラジカ、大ウナギ……事故後の森や湖には弱肉強食の嵐が吹き荒れる。その中でたくましく育っていくオオカミ犬ミーシャ。小さな女の子が誕生日にもらったふかふかの真っ白いサモエド ゾーヤの子ども。仲間を作り、守り、子をなし、年老いてその女の子と再会する。森が死んで、生き物も死に絶える放射能を掻い潜り生き延びた老犬。闘いの場面が多く読むのに疲れる。中学生には荷が重いか。2024/10/29
chantal(シャンタール)
61
一度借りて読み終わらず、延長したけどまだ読み終わらず、一度返却してまた借りて、やっと読み終わった😅時間がなくて読めなかっただけで、面白くなかった訳ではない。チェルノブイリ原発事故が起き、泣く泣く飼い犬のゾーヤを置いて避難せざるを得なかったナターシャ。残されたゾーヤの子供ミーシャは厳しい自然界の中を生き抜く。飢え、闘い、仲間との絆。生きとし生きるものの力強さ、事故後に原生林となって生き返る森。自然ってすごい。やはり地球に取って一番の害悪は人間なんだと思わされる作品。2024/11/22
星落秋風五丈原
26
他レビューアも仰っているように犬たちの物語舞台として、必ずしもチェルノブイリである必然性はない。人間側のドラマ展開のために必要なだけである。しかし全体ボリュームから考えて、犬物語の比重が大きい。せっかくチェルノブイリを舞台にするならば、もう少し人間たちのドラマを分厚くすればよかったように感じる。2024/05/19
joyjoy
10
放射線の標識や、動物の骨まで描かれた表紙画は、色調も暗めで、手にとるのをためらってしまいそうになったが、読んでよかった。動物たちの食うか食われるかの闘いの場面は迫力がありすぎて読んでいてつらいのだが、その分、自然の掟の厳しさをひしひしと感じられた。また、放射能という目には見えないもののおそろしさをあらためて知ることで、原発や核兵器の問題にも関心が及ぶ。自分自身も、ふるさとの原発再稼働に心はざわつきながらも、何もできないでいることがもどかしい。2025/02/27
ぱせり
7
チェルノブイリ原発爆発から二十二年。人の棲まなくなった町は、人間以外の生き物たちの森になっていく。自分ではどうしようもない出来事によりすっかり人生を狂わされてしまった人と犬との物語。または停滞と躍動の物語。二つの物語は、いつかきっと出会い、一つになる。そう願いながら読んでいく。それは希望の始まりであるはずだ。2024/12/28
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