出版社内容情報
大学進学をひかえ、新聞社でコピーボーイ(雑用係)として働くヴィクターのもとに、年上の友人・スピロさんの訃報が。故人との大切な約束を果たすため、彼はひとりミシシッピの河口を目指す。吃音のコンプレックスと格闘しながら自分の世界を広げていく、17歳の夏のできごと。前作『ペーパーボーイ』の、6年後の物語。
内容説明
大学進学を控え、新聞社でコピーボーイ(雑用係)として働くヴィクターのもとに、大切な人の訃報が。故人との約束を果たすため、ヴィクターはひとりミシシッピ川の河口を目指す。吃音の青年の、忘れられないひと夏の旅。前作『ペーパーボーイ』の6年後の物語。
著者等紹介
ヴォーター,ヴィンス[ヴォーター,ヴィンス] [Vawter,Vince]
メンフィス生まれ。地元の「プレス・シミタール」社で新聞記者としてキャリアをスタートさせ、40年余にわたってジャーナリストとして活躍。自身が吃音者であり、吃音症についての啓蒙活動も行なっている。子どもの吃音者の心理に踏み込んだ作品がなかったことから、初の小説『ペーパーボーイ』を2013年に発表。同作は、2014年度ニューベリー賞オナーブックに選ばれた
原田勝[ハラダマサル]
1957年生まれ。東京外国語大学卒。翻訳家。ヤングアダルト小説を中心に英語圏の児童書の翻訳を手がける(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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茜
105
スピロさんが亡くなっていたのは少し悲しかったけれどヴィクターは遺言を果たすため、一人旅に出る。メンフィスからニューオーリンズへ、ミシシッピ川の河口を目指す旅だ。そこでスピロさんの遺灰を撒く。登場人物が魅力的で飽きさせないのはさすがです。きっとヴィクターはまた逞しく成長したんだと思った。本作が出版されると知った私はツイッターで原田勝さんに翻訳を嘆願し、翻訳する計画が進んでいると知った時は小躍りした事も付け加えておきます^^2021/01/26
seacalf
68
前作もかなり良質の小説だったが、今回も期待を裏切らないしびれる作品。しっかり心を掴まれて、あたかもその土地に直に足をつけているような、読み終えるのが惜しくなる感覚。新聞社でのペニー・トス、沼地ウサギを追いかけるシーン、フェイ・ドードー、ルースター・テイルの由来、美しい場面をいくつも抱えた作品だ。吃音に悩む主人公ヴィクのひとり旅に助けを貸してくれる人物達がそれぞれ魅力的。なかでも南ルイジアナ一固い足の裏を持つ美貌の少女フィロミーンが忘れがたい強烈な印象を残す。本を読む喜びに浸れる今年のベスト入り決定の一冊。2021/09/13
星落秋風五丈原
21
PaperBoy続編。大学進学を控えたヴィクターが、恩師の願いをかなえるためにミシシッピ河口を目指す。途中で出会う人達との交流と恋。2020/07/30
joyjoy
17
スピロさんからの最後のメッセージ「目的地ばかりを見ようとするな。そこまでの旅に常に目を向けよ」。こんな感じの言葉、最近どこかで読んだなぁ、と思ったら、「グレゴワールと老書店主」のピキエ氏の言葉と似ていた。どちらも、若者が親しい老人のために旅をする。旅を、人生に置き換えてみる。今を、大事にしたくなる。ヴィクターのまっすぐさは、まわりの人たちも澄んだ気持ちにさせてくれる。読んでいる自分も清々しい気分になった。「英語でどもることができるんだから、フランス語でも、どもれるようになるはずだ」。この一文、最高だ。2022/02/25
タカラ~ム
17
前作「ペーパーボーイ」から6年後、17歳になったヴィクターの物語となる作品。吃音がコンプレックスで内にこもっていた彼を成長へと導いてくれた大切な人スピロさんとの約束を果たすために、ミシシッピ川の河口を目指すヴィクター。その道中で彼は多くの人と出会い、いろいろなことを学んでいく。前作が自分の殻から抜け出すまでを描いた物語だとすれば、本作はもっと広い大きな世界へと踏み出してさらに成長する物語だと思う。やはり印象的なのはスピロさんの存在だと感じた。スピロさんのような大人になりたい。2020/05/18