出版社内容情報
『星の王子さま』は,英語の初版本と,フランス・ガリマール社版を比べると,さし絵の色調やタッチが微妙に異なっていた.作者の生誕100年を記念して,初版本に基づいた,オリジナル版『星の王子さま』をお届けする.
内容説明
世界中で愛読されている永遠の名作『星の王子さま』は、1943年にアメリカで出版された初版本と、戦後フランスで刊行されたガリマール社版とを比べると、挿絵の色調やタッチが微妙に異なっていました。サン=テグジュペリ生誕100年を記念して、作者が生前目にした唯一の版である米国版に基づいたオリジナル版をお届けします。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
419
再読。翻訳でも、なるべく元の雰囲気に浸れるように、今回はオリジナル版に。まず、なんといってもサンテックス自身の手になる絵が素晴らしい。ペイネにもちょっと似たまことにフランス風の絵だ。どの顔もなんだか寂しそうだ。そもそも、この作品では砂漠を夜間飛行する「ぼく」の孤独。いくつもの星をさまよう王子さまの孤独。他のそれぞれの星に住む住人達の孤独。砂漠のキツネの孤独。全編が孤独に満ちていて静かな世界だ。そして、それは同時に、夜になると星の光の届く世界でもある。エンディングでは、静かな静かな涙が浮かんできそうだ。2012/10/31
ミカママ
302
昭和49年発行のモノクロ装丁の本が、なぜ手元に?!再読し始めて思いだした!コレまさに、昔の彼にもらった(というか、借りて返してない)本だったんだ。何度読んでも、新たな発見がある作品。「心で見なくちゃ、ものごとはよく見えない」は有名なフレーズだけど、キツネのセリフだったのね。自分のことを「ぼく」という王子さま、素敵です。この本をくれた彼(最近、再婚したそう)に連絡してみようかな(*☻-☻*)2016/04/06
へくとぱすかる
275
「ぼく」が王子さまに出会うことができたのは、子どものころの、くもりのない心を保持していたからだろう。私にとっては、実は昔からよく理解できない本で、読み解くのが難しいな、と感じての中断ばかりでしたが、今回は読了。さすがにちょっとばかりホロッとしました。「ぼく」が、「常識的には」ありえない結末を、それでも信じるところに、純粋でいることの難しさも感じました。2016/06/15
匠
192
小学生の時以来15年以上ぶりに再読。ピンとこなかった内容が今では、そうかなるほどと心にスラスラ入ってくる。一番のテーマはやはり「大事なものは目に見えない。心で見なくちゃ」という言葉だけど、今回はキツネと出逢った王子のくだりとラスト近くのせつないシーンが強く印象に残った。王子がいろんな星を旅して出逢う大人達の姿には風刺たっぷりだし、物事の捉え方、広い視野はまさに飛行機からの俯瞰そのもの。大人と子どもの違いをここまで露わに書かれてたとは。また訳者のあとがきにテグジュぺリを「異常人」と書いててビックリした。2014/03/28
猫丸にゃん太
126
「星の王子さま」は大切な事は心の目でしか見えない事を教えてくれる。世界の見方は想像力を用いた心の目と合理的な理性の目に分けられる。人間は歳を重ねるにつれて合理的になりがちである、確かに社会で生きて行くには合理的である必要はある、正確な意思疎通や苦痛を和らげる事も可能になる、だが表面しか見えない。コンビニのおにぎり一つでも苗の研究者や漁師さんから店員さんまでの物語がある、一つの行為や言葉の裏には沢山の気持ちが存在し、深く愛したり感謝できるのは想像力の世界に想いの物語を見るからである、大切なものは心で見たい。2015/05/22