スターリンの鼻が落っこちた

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  • サイズ A5判/ページ数 159p/高さ 22cm
  • 商品コード 9784001156591
  • NDC分類 K933
  • Cコード C8097

出版社内容情報

スターリン時代の旧ソ連.10歳のサーシャは幼いころから少年団ピオネールに入るのを夢見てきた.ところが入団式の前夜,父親が秘密警察に逮捕されてしまう.学校ではある事件がおき,生徒たちは「犯人だと思う人」の名を書かされる.独裁,密告社会の怖さをえぐりだしたイラスト満載のフィクション.ニューベリー賞オナーに選ばれた注目作.

内容説明

あこがれの父さんが突然、逮捕された。絶対だと信じていたものが、こわれていく―。2012年ニューベリー賞オナーブックに選ばれた。

著者等紹介

イェルチン,ユージン[イェルチン,ユージン] [Yelchin,Eugene]
1956年生まれ。ソ連のレニングラード(現サンクトペテルブルク)で育つ。レニングラード大学で舞台芸術を学んだあと、舞台美術家として活動するが、1983年アメリカに移住。現在、ロサンゼルスを拠点とするロシア系ユダヤ人画家として活動。2010年には、ユダヤ民話の絵本『Breslovのオンドリ王子』(未邦訳)で、全米ユダヤ図書賞を受賞。初の児童文学作品となる『スターリンの鼻が落っこちた』は、2012年のニューベリー賞オナーブックに選ばれた

若林千鶴[ワカバヤシチズル]
1954年大阪市生まれ。大阪教育大学大学院修了。31年間、公立中学校で、国語科と図書館を担当。集団読書や「楽しく読んで考える読書」を中心に指導と実践し2012年退職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

とよぽん

53
読友さんの感想に興味をもって。図書館閉架から。タイトルから内容は少し想像できたが、「鼻が落っこちた」の経緯が謎で、読み始める。子どもたちに読んでほしいから児童書にしたのだろうが、これは現在ただ今、世界中の大人も読んでほしい作品だと思った。「人民の敵」を告発するため「すべてを疑う」スターリンの恐怖政治。それが人々を分断し、学校でも子どもたちは信じられるものがなくなり、裏切りが日常の世界。政治の大義が人々の平和を奪う物語。子どもの視点で描かれているのがポイントだと思う。良書。2024/03/21

新田新一

43
スターリン時代のロシアの恐怖政治を子供の視点から描いた作品。目の覚めるような傑作で、独裁主義の恐ろしさが的確に伝わります。サーシャの父親が急に秘密警察に逮捕されます。途方に暮れた彼は何とか父を助けようとするのですが、無力な子供に出来ることはほとんどありません。サーシャがスターリンを英雄だと信じ込んでいる事に、洗脳教育の恐ろしさを感じました。救いのない話ですが、結末で僅かに光が見えます。政治的な主義主張では人間は救えず、ささやかな善意だけが人の心を救うのかもしれません。2025/02/23

Nobuko Hashimoto

25
スターリン時代の秘密警察の幹部だった父が隣人の告発によって逮捕される。今日の英雄が明日には「人民の敵」として捕らえられる時代。同じく親が逮捕されたユダヤ人の級友やクラス一優秀だった級友も教師に目の敵にされるようになる。大好きな尊敬する父を見限り、体制側のスパイ、国家の子として生きよと迫られた少年はどうするか!/本作自体はフィクションだが、作者親子も似た体験をしたとのこと。挿絵の多い児童書だが、内容は重い。/ 秘密警察幹部でも水回りやトイレが共同のアパート住まいというのはソ連初期ゆえか。2020/01/16

Cinejazz

22
〝敬愛する同志スタ-リン閣下 幸せな子ども時代を過ごせていることを、あなたに感謝します。 ぼくは、今の世界で一番民主的で進歩的な国、ソビエト連邦で暮らせて幸せです。資本主義の国の子どもたちの暮らしがどれだけ大変か、本で読んだことがあります。ぼくはこのソビエト社会主義共和国連邦で暮らせない子どもたちが、可哀そうだと思います・・・〟独裁者スタ-リン時代の密告、監視社会の恐怖を描いた、ロシア系ユダヤ人作家のニュ-ベリ-賞を受賞した衝撃作。 スタ-リン主義が息づく、現ロシアの独裁政権に慄かざる得ない。 2024/03/19

かもめ通信

20
“やまねこ翻訳クラブ”創立20周年記念読書会に参加するべく久々に再読した1冊。スターリンの粛正を少年の目を通して描いた作品のはずなのに、現代社会に通じるものがあって、なんだか恐ろしくなった。「わたしたちがだれかの考えを、正しかろうが間違っていようが、うのみにし、自分で選択するのをやめることは、遅かれ早かれ政治システム全体を崩壊に導く。国全体、世界をもだ」粛清の嵐が吹き荒れる校内に、たった一人ゴーゴリの『鼻』の講義を続けるルシコ先生の言葉がこだまする。舞台芸術出身の著者自身が描いたふんだんな絵も見所。2017/10/06

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