内容説明
大都会ベルリンから引っ越してきた見知らぬ土地で、軍人の息子ブルーノは、遊び相手もなく退屈な毎日を送っていた。ある日、ブルーノは探検にでかけ、巨大なフェンス越しに、縞模様のパジャマを着た少年と出会う。ふたりの間には奇妙な友情が芽生えるが、やがて別れの日がやってきて…。
著者等紹介
ボイン,ジョン[ボイン,ジョン][Boyne,John]
1971年、アイルランドのダブリンに生まれる。トリニティ・カレッジで英文学を、イースト・アングリア大学で創作を学ぶ。小説として4作目にあたる『縞模様のパジャマの少年』は、アイルランドで長期間ベストセラーとなって話題をよび、カーネギー賞の候補にも選ばれた。30か国以上で翻訳出版され、映画化もされている
千葉茂樹[チバシゲキ]
1959年、北海道生まれ。国際基督教大学卒業後、児童書編集者を経て、現在は翻訳家として活躍(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
いつでも母さん
134
この本の存在を知ってはいた。映画化された記憶もある。知識としてのホロコーストは学校でも学んだ・・だから結末が予想出来てドキドキする。「行っちゃダメ」と「行かなきゃわからない」の思考の中、私自身の心が試される。ベルリンから来た軍人家族の9歳の少年・ブルーノと、フェンスを隔てた同じ齢のポーランドの少年・シュムエルの友情の日々が苦しくて苦しくて。フェンスの意味、縞模様のパジャマの意味・・全世界の人々は知っている。そして、身近な世界でも形を変えて色んなフェンスや縞模様のパジャマが数多あるのもキツイ現実だ。2024/08/07
ちょろこ
116
衝撃、の一冊。言葉を失う瞬間は多々あれど、ここまで長く失うのは初めてかも。それぐらい衝撃が止まない。主人公は軍人の父を持つ9歳の男の子ブルーノ。ベルリンから引越してきた見知らぬ土地の巨大なフェンス越しで縞模様のパジャマを着た少年と友達になっていくストーリー。ページ以上の重みを感じ、心が逐一ざわざわ足留めされた。フェンスの向こうとこちら側、パジャマが意味するものを知っているからこそブルーノの無垢な姿、正直な気持ちが逆に苦しみを運んだ。知らない、知ろうとしないこと。それもある意味、巡り巡った罪の一つなのかも。2024/07/25
天の川
72
茫然としてページを閉じた。この結末は…。ベルリンの邸宅から引っ越してきた9歳の少年。遠く見えるのはバラックと縞模様のパジャマを着た痩せた人々。状況を理解するには彼は幼すぎた。探検で知り合ったフェンスの向こうの少年との幼い会話のかみ合わなさ。ベルリンに戻る日、彼は友との約束を果たすため、縞模様のパジャマを着てフェンスを越えるのだ。大人達(収容所長の父でさえ)は総統の命令に逆らえない。支配者の狂気を止めることができないままに悲劇は加速度的に拡大していく。児童書。2008年に映画化。→2024/07/13
キムチ
71
こちら側とあちら側の間に「在る」フェンスの意味。統治という権力で築かれてもそこを潜り抜ける友情はあった‥いや、「ない」事は断定出来ぬという、ある意味、ダークファンタジー。縞模様のパジャマと描くだけであの有名な伊映画の1シーンが目に浮かぶ。ハンサム 長身の父の容貌はナチスの象徴そのもの、精神まで体現。永久に消える事がないその画像は所業と共に、なぜ起きたか、以降決しておこらないと断定できるか‥そう求道していかねば犠牲となって消えて行ったかの民族や他人々の魂が報われない。岩波児童文学で発刊された重みを教える傑作2024/07/26
糸車
61
9月の子どもの本の読書会の課題本。9歳の少年目線で描かれているので色々言葉が足りないけれど、戦時下ドイツが舞台、父親は軍人、しかも総統閣下が自宅に来て食事を取るほど重要なポストについていることが分かる。一家が引っ越した土地にある不思議なフェンス、揃いのパジャマを着た人々…、大人ならそのものズバリの表現はなくてもそこが収容所で、収容されているのはユダヤ人だと気づくと思う。同じ日に生まれた9歳の少年との友情…、結末の残酷さに戦慄する。簡単に奪われてしまう無辜の人々の命。曖昧に表現されていてもどっしり重い。2018/09/11
-
- 和書
- 韓国語漢字音トレーニング