出版社内容情報
ローマ軍の若き指揮官として北ブリテンに赴任したアレクシオス.帝国の辺境で繰り広げられる氏族間の紛争,友情と憎悪,出会いと別れを描く,ローマンブリテンの物語の最終編.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ほりん
33
ローマ帝国の軍人アレクシオスは、判断ミスで多くの部下を失い、ブリテンの辺境へと左遷される。失意のアレクシオスだったが、氏族出の兵士たちや氏族長と徐々に信頼関係を築いていく。そこへ偏狭な司令長官が視察に訪れ、事件が起こる。その上、北の氏族たちの不穏な動きが現実となり…。運命は非情だ。人間は従うしかない。しかしアレクシウスは以前とは違った。兵士の命と心を守ろうと、身を挺して戦う司令官になっていた。文化が違っても、たとえ敵味方として戦わなければならなくなっても、分かり合える。悲しいけれど、勇気をもらった。2019/03/03
sakadonohito
4
西ローマ帝国終りに近づく頃を舞台にした物語。左遷される原因となった過去に犯した失敗と同じ状況が訪れた時、主人公は部下を無駄死にさせない為にやはり同じ選択をする。現地の事情に理解を示さない上司の命令に現地部族と関係悪化すると分かっていながら命令に従わなければならない中間管理職の悲哀や部下を守るため友情を培った現代部族の長と決闘する決断をしたりと辛さ目白押し。最後は部下に慕われ俺たちの戦いはこれからだエンド。2020/09/07
えんぴつ
0
ブリテンローマ4部作の4作目。アクイラ家のアレクシウスは、伯父の北ブリテン総司令官の七光で百人副隊長へとスピード出世したが、ドイツ辺境での戦いで百人隊長が戦死、アクイラは戦況不利と見て撤退を指示するが、大きな犠牲を出す。また撤退は軍の規則に反するとしてブリテン北部国境防壁へと左遷される。そこで見る辺境の軍隊は、オオカミと呼ばれるならずものの集団。古い西部劇から着想を得たとの事で、アメリカフロンティアの匂い、第二次世界大戦頃のアメリカ軍の雰囲気がある。ローマとアメリカは、やはり似ているのかな。2023/11/12