出版社内容情報
公園のはずれの古くてふしぎなお屋敷.ある日,トムがしのびこんでみると,そこではたくさんの〈顔〉が家を守っているのだった…都会の中で自分の居場所をみつける少年の物語.
内容説明
公園のはずれの古くてなぞめいたおやしき。ある日、女主人のるすにトムがしのびこんでみると、そこではさまざまな“顔”が家を守っているのだった。都会の中で、自分の場所をみつけようとする少年の物語。小学4、5年以上。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
榊原 香織
56
ん~、児童文学だけど、子供には難しいんじゃないだろうか。 古いお屋敷に忍び込んで、急に海の中に成ったりジャングルに成ったり、仏像が意味深なことをつぶやいたりする。 グリーンノウの作者82歳の作品(最後の?)2023/06/13
芽
31
ルーシー・ボストンの館のファンタジー。同じく少年と館が主役の「グリーン・ノウ」シリーズと地続きな感覚がありつつも、今回は館の「番人」である「古いものたち」を通してふしぎなことが起こる。トムの時空を超えた旅は謎めいていて魅力的だ。歴史を持つ品物や場の静寂から〈目に見えないもの〉を感じ取る力。これこそファンタジーの書き手としてのボストンの資質にほかならない。それにより私たちは、空間に満ち満ちた〈過去〉にたしかに手を触れることができるのだから。さて、次に館で「彼ら」に会ったとき、どんな物語を語ってくれるだろう!2017/08/03
ぱせり
11
「見かけどおりのものは、ひとつもなかったし、なにもかも、見た目以上のなにかになった」ことをちゃんと感じられる人にだけ開かれた世界がここにある。このお屋敷を舞台にしたたくさんの物語・・・ボストンさんも屋敷もなんて幸せだったのだろう、と思わずにいられない。そして、この世界の豊かさの中に招待してもらった読者もなんて幸せなのだろう。昔、「ここの家には座敷わらしがいる」と言っていた近所の子のことを思い出しました。2011/10/30
じょうこ
9
グリーン・ノウシリーズのスピン・オフともいえる作品。主人公の名前が「トム」なので、「トムは真夜中の庭で」を思い出す。冒険の1話中で、「すべては、まぼろし」「恐怖は、まぼろし」「望みは、まぼろし」と僧が言うシーンが印象的。小学生向けの作品だが、小学生がどうイメージでき、どう読むのだろうか?知りたいなあ。2020/08/21
topo
6
街中の公園の奥に佇む古いお屋敷に忍びこんだ少年トムが不思議な体験をするファンタジー。街での生活に馴染めない、自然溢れる田舎出身のトムの自分探しの物語でもあり、幻想的な描写とトムの心情描写の融合が魅力的な一冊。 骨董品店の静謐でいて古き物たちが話しかけてくるような感覚を存分に味わえるのも魅力のひとつ。幻想的で美しくもあり恐ろしくもある古き物たちが見せる世界。臨場感溢れる描写に一瞬で包まれる不思議で素敵な読書時間。 中編ながら、作者のグリーン・ノウシリーズ、『海のたまご』の集大成にも感じる。2021/04/22