出版社内容情報
大おばあさんの100歳の誕生日に招かれた,仲の悪いいとこ同士の少年ふたりが古い屋敷の中でかくれんぼをして体験した恐怖の瞬間……スーパーナチュラルな手法で描かれた,世にもふしぎな11の物語.
内容説明
太ったわがままな幽霊の話、予知能力をもった伯母さんの話、動物恐怖症の少年の話など、サスペンスたっぷりの11編。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ケロリーヌ@ベルばら同盟
61
【生誕100年フィリパ・ピアスを読む】幽霊話あり、サスペンスありの11篇が収められた短編集。子どもの心で、不気味さ怖さを味わうも良し、大人の経験を踏まえて、作品の世界を深堀りするのも良し。色々な楽しみ方が出来る一冊。クリスマスプティングに籠められた呪い。幽霊にお説教する女の子の痛快さ。古いお屋敷に蟠る陰。無謀にも大古の精霊に挑んだ青年の顛末。影になった犬に寄せる少女の優しい心。不気味な話、怖い話に、ユーモアを絡め、台所の温もりや、生い茂る草花、雨の匂いなど、ピアスならではの味付けをした物語を堪能しました。2019/09/18
星落秋風五丈原
35
無邪気な遊びのはずの隠れんぼも、その時ジョニーにとっては恐怖と苦痛でしかなかった。その彼を100才のお婆さんが老いを利用した巧妙な手段で救う表題作。何かを求めている少年の心に過去の少年の敵意や憎しみが乗り移ろうとする「クリスマス・プディング」ある田舎町に自殺した気弱な青年教師の後任としてやって来た悪魔を思わせる不気味な代用教員の話「よその国の王子」など。本当に恐いのは、人の心の奥深くに棲むねたみや憎しみが他者との関わりで増幅されて表出した時。その恐さが冷静かつ確かな描写で読者に迫る1992/09/12
くさてる
20
わたしはこの作家の「トムは真夜中の庭で」がとても好きなのですが、この本はそれとはまた趣が違ったスーパーナチュラルなホラー譚。なんとも救いが無かったり、救われない話も多いなか、「黄色いボール」のせつないやさしさに救われました。でも個人的には、とてもぞわぞわする「あれがつたっていく道」と、どんな風にも解釈できるけれど正解が見当たらない「よその国の王子」の二編がおすすめです。面白かった。2018/09/22
timeturner
7
面白かった! 人間の心の深いところをのぞきこませてくれる。そして、どんなときでも憐れみの気持ちを忘れないのが素晴らしい。まさに子どもに読ませたい(大人も読みたい)怖い話。2015/05/04
ゆかわ
5
短編集。怖い話多めにも関わらずうっかり夜寝る前に少しずつ読んでしまって後悔した。けど、何故か日があるうちは読む気になれなかった。しかし超自然的な何かより人の狂気の方が恐ろしかった。幼子の残酷性を的確に捉えてて「黒い目」が一番怖かった。最後の話「黄いろいボール」は最後に載ってて良かった。あれで救われた。相変わらずこの作者は少年と犬の出会い。犬を飼いたいと思わせるのが上手い。2020/02/22