出版社内容情報
輝くばかりの絵画の才能をもつ姉フランセスのかげで,常にひかえめに自分の生き方をさがし求めてきたジュリア.彼女の内にある情熱をひきだしたのは誰だったのか? 一少女の波瀾にみちた青春を描く.
内容説明
輝くばかりの絵画の才能をもつ姉フランセスを支え、家事や妹たちのせわを引き受け、常にひかえめに生きてきた次女ジュリア。世界大戦が思わぬところで彼女の内にある情熱に火をつけた…。少女小説・家庭小説の新しい傑作と評されるイギリス版『若草物語』。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ほたて
23
行動派の長姉のフランセス、ムードメーカーの末妹のセーラの間で、あまり語られなかった真ん中のジュリアとグゥェン。ジュリアにスポットを当ててみると、超ドラマチック。心の中に秘めた思いがあって、それをあまり口にせずにひっそりと決意を固めている。戦争が暗い影をおとす時代に、恋をしたり従軍看護婦として仕事をしたりするジュリアは、流されるようにそこに収まってるように見えるけど、自然体でそれを受け止める懐の大きさを感じます。2013/10/23
杏子
9
シリーズ三作目。この巻では、次女ジュリアの目から物語が語られる。前2作、姉フランセスと妹セーラの視点からは見えなかった部分が初めて明かされ、興味深かった。とくにジュリアが従軍看護婦としてフランスに渡ってからのこと、ジョフリーとのことなどは初めて知る事実の連続…目が離せなかった。戦後、ジュリアが結婚を決めた頃は何も心の解決ができていそうにないのに、本当によいのかと不可解だったけれど。最後の数章で何らかの帰着を得たようでよかった。前2作もだったが、この巻は生き生きと看護の生活に明け暮れるジュリアの姿が印象強く2013/07/07
強い仔馬
5
このシリーズは大好きです。特に、第一次世界大戦の時に看護婦としてフランスに渡る次女のジュリアの物語はドラマチックかつ主人公の性格が魅力的です。何度読んでも読み始めると止まらず、最後まで読んでしまいます。読んだ後はしばらくボーッとなります。ところで、このシリーズにはあと2巻、続きがあるようなことが解説に書いてあるのですが、英語でも未だ出版されていません。作者はこのシリーズの他、同時代の海兵の手紙に関する著作があるだけです。どうなってしまったのかしら。
水色さくら
4
◎/ジュリアったらなんて素敵な女性なの……。世界を支えているのは、ジュリアやルーシーのような、忍耐強く辛抱強く、そうでない人たちをあたたかく厳しく見守ってくれる、歴史に名を残すこともない「ふつう」の人たちだと思う。ジュリアもルーシーも幸せになっていいのよ。2013/03/09
ひじり☆
3
三作目。全然目立たなかった、ジュリアのドラマッチックな半生に前作以上に夢中になった。最後はギュッと胸が締め付けられるような切なさと、ジーンとあたたかい感動があって、しばらく違う世界にいるようだった。2014/10/08