出版社内容情報
卵からかえったヒナが大きく育ち,洞から顔を出す.親鳥がえさを運んでくる.そんな観察写真のかげには,たくさんの失敗談と空振り写真があり,ブラインドに泊まり込んで,チャンスをひたすら待った年月がある.
著者等紹介
滝沢信和[タキザワノブカズ]
1958年長野県生まれ。県立屋代高校卒業後、地元の工場に1年間勤務した後、自動車工場の季節工や各業種のアルバイトをしながら、ニホンリスの撮影を11年続ける。その後、フクロウの観察・撮影の一方で、果樹栽培などの農業を続け、現在にいたる。長野県更級郡大岡村在住
今泉吉晴[イマイズミヨシハル]
1940年東京生まれ。東京農工大学獣医学科卒業後、長岡市立科学博物館学芸員、国際基督教大学自然科学科助手などを経て、都留文科大学文学部社会学科教授(環境生態論、博物館学担当)となって、現在にいたる。山梨と岩手の山林に小屋を建て、森で暮らす小哺乳類の暮らしに自分も加わるという方法で、彼らの生き方の研究をしている
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
Kawai Hideki
79
「珠玉の一冊」というべき動物写真集でデビューするという課題を抱えながら、25年間、長野の山の中で苦戦している自称・動物写真家による、執念の書。最初はニホンリスに取り組むも、11年間で雑誌に数回掲載されただけで行き詰まる。農業しながら写真家活動を進めることを決意。アナグマを追いかけるも空振り。その過程でふと出会ったフクロウが本書のテーマ。巣穴の中にもカメラを仕掛けて、中のヒナの様子もばっちり捉えている。二羽で並んでいる可愛らしいヒナの隣には、エサとなるネズミの死骸がうずたかく積まれている。壮絶の一言。2016/01/23