出版社内容情報
残酷な童話のような味わいのカリントンの表題作をはじめ,ペロー,ルブラン,メリメなど,不気味で美しいフランスの短編を選りすぐった,ホラー・アンソロジー第3弾.美しい幻想のきらめきをみせるシュペルヴィエル「沖の少女」,平凡な男が大胆に変貌していくエーメ「壁抜け男」など,未邦訳2編をふくむ,全編新訳15編.
内容説明
好評クラシックホラー傑作選、フランス編。残酷な童話のような味わいのカリントンの表題作をはじめ、ペロー、ルブラン、メリメ、モーパッサン、シュペルヴィエルらによる、不気味で美しい短編15編。本邦初訳2編をふくむ、全編新訳。中学以上。
著者等紹介
平岡敦[ヒラオカアツシ]
1955~。千葉市生まれ。早稲田大学文学部卒業。中央大学大学院修了。フランス文学翻訳家。フランスのミステリからSF、絵本まで幅広い作品の翻訳を手がける。チェン・ジャンホン『この世でいちばんすばらしい馬』、ネーマン&タレック『水曜日の本屋さん』で産経児童出版文化賞翻訳作品賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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mocha
111
残酷童話のようなものから男女の愛憎劇まで、さまざまな味わいのフランス編。ジュール・シュベルヴィエル『沖の少女』の幻想的な美しさが印象に残る。日本では狐や狸に化かされるけど、レオノラ・カリントン『最初の舞踏会』ではハイエナ。術が使えないので変装の方法が恐ろしい。アルフォンス・アレー『心優しい恋人』の優しさにうげげ!メリメ『イールの女神像』は以前読んだ訳の方が不気味だった。とても豪華なこのシリーズ、日本編やロシア編、北欧編なんかも出してくれないかな。2018/08/15
藤月はな(灯れ松明の火)
79
ほとんど既読の作品もありましたが、アルフレッド・ヒッチコックの映画で有名な『めまい』の原作者、ボアロー&ナルスジャックの短編も入っていてお得。可愛らしくも実は残酷なカリントンの表題作、人間をとことん、客観的に突き詰めて描いた自然主義のゾラの「恋愛結婚」が気に入りました。2015/06/05
KAZOO
66
前2作が英米を中心としたホラーで金原さんの訳ですが、これはフランスのもので15の短篇が収められています。中学・高校生用のものですが十分に大人も楽しめます。メリメ、モーパッサン、シュペルヴィエルなどの佳作が十分に楽しみを与えてくれます。大人も十分に楽しめます。2015/05/29
かりさ
55
ペロー「青ひげ」から始まり、ゴーティエ、モーパッサン、ロルド、メリメ…残酷で美しきフランス怪奇譚15篇。奇想と怪異の作品の中で、私の推しシュペルヴィエル「沖の少女」の幻想さが際立ちかなり秀逸。奇想溢れる怖さの中に、仄かにユーモアある作品たち…ゴーティエ「コーヒー沸かし」の古い屋敷で起きる真夜中の不思議な出来事、アレー「心優しい恋人」の想像を超える甘美な夜(いやこれはすごい)…、カリントン「最初の舞踏会」のブラックユーモアな奇抜さ、堪能しました。フランス怪奇とても良き。冬ごもり読書に怪奇の楽しみ。2021/01/23
星落秋風五丈原
53
表題作はイラストの通り。というか見たら皆いっぺんでわかるだろう。『青ひげ』ってあれ、ラスト青ひげあんまり強くない。いや、魔法使うから普通の人間にはやられないだろうって思ったのに。考える余地を残したモーパッサン「幽霊」自業自得とはいえ『壁抜け男』が怖い。2015/06/20