出版社内容情報
クリスチナとディックの愛は、どうしようもなくこわれていく。何を求め、誰を愛するのか、クリスチナは再び決断のときを迎える。
内容説明
クリスチナとディックは、階級のちがいを愛でのりこえて結婚したはずだった。しかし、考え方も感情もかみあわず、二人の関係はどうしようもなくこわれていく。何を求め、誰を愛するのか、クリスチナは再び決断のときを迎える。中学以上。
著者等紹介
ペイトン,K.M.[ペイトン,K.M.][Peyton,K.M.]
1929‐。イギリスのバーミンガム生まれ。美術学校に学び、美術教師の資格を取得。夫と合作で子ども向けの小説を書いていたが、1962年刊『難波船上の戦い』がカーネギー賞の候補作となり、本格的な作家としてみとめられる。1969年に『フランバーズ屋敷の人びと2 雲のはて』でカーネギー賞を受賞、翌年、同シリーズでガーディアン賞を受賞。ヤングアダルト小説を多く手がける
掛川恭子[カケガワヤスコ]
1936年、東京生まれ。津田塾大学英文科卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Die-Go
29
図書館本。そうかぁ、そう言う結論になりますか。どうにも激しすぎる展開。ペイトン氏の描写の上手さが光る作品でした。★★★★☆2022/09/08
LUNE MER
14
最終的には収まるところに収まったという感じではあるが、納得感についてはかなり意見が分かれそうな物語だったかな?「風と共に去りぬ」のスカーレットは好きになれないながらもやる事なす事これ全て農園タラのためなりという揺るぎない意思は感じられた。一方、本作のクリスチナは芯のところがガタガタな印象で、スカーレットも酷かったけど君もどうなんだい?と思うことしばしば。ドロシーは最後までナイスガイだった(女だけど)。二人の子達が健やかに育っている感じなのはよかった。2021/09/18
北風
12
いろいろ複雑な人間模様に、最終巻を読むのが億劫だった。案の定、なんだが、人間なんてこのくらい複雑で当たり前なんだ。イギリスと日本の違いと言われても、そう違うものでもないような気がするけれど? 身分違いというのは、どの国にもあるものでしょう? そこから生まれる愛がどんな結末を迎えるかだって、国とか時代とか、人によって違ってくるのだと思うから。人ごとだけど、本は自分に引き寄せてしまうから、読むのが辛くなる。なんにしても、イギリスのスカーレット・オハラだよな。2018/08/21
ヴェルナーの日記
12
主人公クリスチナは、近代的な解放された性格(ウィルの影響であろう)と、フランバース屋敷の旧習的保守な性格(ディックに代表される)が、葛藤を生み出し彼女を苦しめる。こうで在りたい自分(マークが好きなこと)と、こうで在らねばならぬ自分(ディックの妻であること)は、決して両立させることができない(マークは既婚者である。マークがドロシーと離婚したとしても、クリスチナとは義兄妹であるため、当時のイギリス法では結婚は不可)。それでも最後には、開放的な自分を選んだことは、女性解放を唱えたジェンダーの物語といえるだろう。2014/03/04
topo
7
英国版「風と共に去りぬ」が全体的な感想。 一人の女性の恋物語に階級社会、新旧文化の対比、戦争、フェミニズム、家制度などの社会問題を盛り込み単純な恋愛作品ではなく世相を反映した深みのある内容になっている。 愛に溺れるのではなく愛を糧に強く生きた女性の物語。 2019/07/13