内容説明
結婚の約束をして、フランバーズ屋敷を出たウィルとクリスチナ。第一次世界大戦目前、ウィルは、時代の最先端をゆく飛行機に魅せられ熱中する。そんな彼を、クリスチナは喜びや苦しみに心かきみだされながら、必死に愛する。中学以上。
著者等紹介
ペイトン,K.M.[ペイトン,K.M.][Peyton,K.M.]
1929‐。イギリスのバーミンガム生まれ。美術学校に学び、美術教師の資格を取得。夫と合作で子ども向けの小説を書いていたが、1962年刊『難破船上の戦い』がカーネギー賞の候補作となり、本格的な作家としてみとめられる。1969年に『フランバーズ屋敷の人びと2 雲のはて』でカーネギー賞を受賞、翌年、同シリーズでガーディアン賞を受賞。ヤングアダルト小説を多く手がける
掛川恭子[カケガワヤスコ]
1936年、東京生まれ。津田塾大学英文科卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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たつや
43
見事なメロドラマ。イギリスは馬の国のようなものらしいのに、流行りものの飛行機に夢中になるウィル。彼を見守るクリスチナが切ない。そして、第一次世界大戦が忍び寄る。2017/03/14
Die-Go
40
図書館本。支配的な叔父の元から駆け落ちしたクリスチナとウィル。希望に満ちた日々の始まりかと思いきや。なんとも読んでいて苦しい。本当にこの選択はよかったのかなと思わされる。★★★☆☆2022/08/28
北風
16
じゃじゃ馬娘だったクリスチナだが、ウィルは乗りこなせないらしい。馬は苦手なウィルも、大空を翔る飛行機は上手く飛ばせるのに、クリスチナに対する扱いは……。なんか、「風立ちぬ」みたい。空に魅せられた男は冒険心溢れて魅力的だが、上ばかり見てる。そんな倒れそうになっている自分を、支えている女性の存在をありがたいと思っても、あまり振り返らない。手を伸ばしてその手を掴んでも、空から目を離して振り返ることをしないのだ。2017/07/12
LUNE MER
15
第二巻はヒコーキ野郎ウィルがメイン。脚が不自由というハンデを抱えながら一瞬のチャンスも見逃すことなくエースパイロットに昇り詰めるサクセスストーリーが王道ながらも秀逸で、前巻以上に先の展開が気になってページをめくるスピードもかなり上がってた気がする。また、黎明期ゆえに多発する飛行機事故も効果的に物語に織り込まれ、クリスチナとウィルの進展が常に死と隣り合わせというかなりスリリングな読書を味わえる。ラストでは遂に結ばれるものの、同時に第一次世界大戦が勃発し、ウィルは空軍に入隊。これまた先が気になる。巧い!2021/09/12
ヴェルナーの日記
11
前作のレビューで、本作は歴史主義(ヒストリズム)的傾向を持つ物語だと書いた。それは当然、新・歴史主義(ニュー・ヒストリズム)的であるということもいえるわけだが、作品の内容から観ると、前者と言えるではないであろうか?何故なら、視点は主人公クリスチナでありながらも、語り手は第3者(いわゆる神の目)であり、基本3人称で物語が進んでいく。この手法はベルトルト・ブレヒトの使った「異化効果」を根ざすものである。この手法の特徴は、出来事を客観的・批判的に見ることを読者に求めるが、登場人物に感情移入しにくい欠点がある。2014/01/24