出版社内容情報
和の訪れたアースシーで,自分の持つ力をつきとめるため,大賢人不在の魔法の学院ロークへやってきた,ある少女の物語「ドラゴンフライ」.アースシー世界を鮮やかに映し出す短篇「カワウソ」「ダークローズとダイヤモンド」「地の骨」「湿原で」.さらに作者自身による詳細な解説を収録する.『ゲド戦記外伝』を改題.
内容説明
ある少女が、自分の持つ力をつきとめるため、大賢人不在の魔法の学院ロークを訪れる。表題作を含む、アースシー世界を鮮やかに映し出す五つの物語と、作者自身による詳細な解説を収録する。
著者等紹介
ル=グウィン,アーシュラ・K.[ルグウィン,アーシュラK.][Le Guin,Ursula K.]
1929~。アメリカの作家。カリフォルニア州バークレー生まれ。父は文化人類学者A.L.クローバー、母は『イシ―北米最後の野生インディアン』の著者シオドーラ・クローバー。『闇の左手』をはじめとする大人向けのSF作品でヒューゴー賞、ネビュラ賞など、数々の賞に輝く。「ゲド戦記」シリーズでファン層を飛躍的に広げた。「ゲド戦記」は、始めは三部作だったが、その後長いブランクを経て続編を発表し、読者を驚かせた
清水真砂子[シミズマサコ]
1941年、朝鮮生まれ。青山学院女子短期大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
美紀ちゃん
47
再読。よーく比べてみたら「ゲド戦記外伝」と内容が同じなので、こちらを読んだ。解説を読むと、作者の世界観がよく解る。納得できるし、よく作られている。「湿原で」ゲドが出てきてホッとする。2014/04/22
ネギっ子gen
46
冒頭に地図が2枚。続いて「まえがき」と題された、作者の思いを吐露した文章。「カワウソ」「ダークローズとダイヤモンド」「地の骨」「湿原で」「トンボ」の、ゲドが主人公ではない、ゲドやテナーが生まれる前に起こったことが記された、5つの【外伝】となる物語。巻末の「解説」は、アースシー世界の種族・言語・歴史・竜・魔法などについて、ル=グウィン自身が解き明かし、作者の構想したアースシー世界の全貌が鮮やかに見えてくる。ゲド戦記副読本か。【実在しない歴史をさぐるには、物語っていって、何が起こるか、見きわめるしかない】。⇒2022/04/27
たつや
45
全4巻のはずが、7~8年のブランクを経て復活したらしい、外伝を改題したらしい。まえがきを読むと、作者自身が続編を依頼され?、物語の続きが知りたくなったと書いているのが、面白い発想だとおもった。こんな大長篇を書く人の頭のなかは、やはり、普通の人とは違う様だ。全部で5つの物語に別れているが、1~4話までが前作までのおさらいのような構成になっていた。最後のドラゴンフライで、いよいよ最終巻に続くようです。個人的には感動もなにもなく、「ここまで読んだから」という、惰性?で読んでいました。でも、文句はないんです。壮大2017/02/16
ころりんぱ
44
ゲド戦記の物語の世界、時間、空間を広げての短編集。後に書かれたものなのに、まるでそこに初めからあったような世界。魔法使いや魔女、まじない師の区別、役割、まぁまぁよくもこんな世界が作者ひとりの頭の中に出来上がったものだとびっくりする。ローク学院のなかった時の話「カワウソ」も面白いし、オジオンの若き日や、「ゲド戦記」の隙間に広がる物語が、いちいち細くて…そこにに生きている、主役級ではないたくさんの登場人物の生活や息遣いが見えるよう。楽しく読めました。2017/07/20
みや
39
アースシーを舞台にした番外編5作と解説を収録した短編集。第四巻で興醒めしてしまったが、今作ではこれまで描かれてきた物語の奥や影を多く知ることができて楽しめた。大賢人ゲドが登場する「湿原で」が一番好き。世界を揺るがす事件や異変は起こらないが、このような小さな出来事が世界のあちこちで積み重なりながら時間は流れ、歴史は作られていくのだろう。オジオンの師が魔法使いの生き様を見せる「地の骨」、奴隷にされた青年が魔法学院を創設する「カワウソ」も良かった。若い人が世界を知り、己と向き合う物語は読んでいて本当に楽しい。2017/10/04