出版社内容情報
ゲドの故郷ゴント島で一人暮らすテナーのもとに,大やけどを負った少女と,いまや魔法の力を使い果たしたかつての大賢人ゲドが,吹き寄せられるようにやってきた.やがて3人はいっしょに暮らすようになるが,それぞれの過去がこだましあい,領主の館をめぐる陰謀にしだいに巻き込まれてゆく.
内容説明
ゴント島で一人暮らすテナーは、魔法の力を使い果たしたゲドと再会する。大やけどを負った少女も加わった共同生活がはじまり、それぞれの過去がこだましあう。やがて三人は、領主の館をめぐる陰謀に巻き込まれるが…。
著者等紹介
ル=グウィン,アーシュラ・K.[ルグウィン,アーシュラK.][Le Guin,Ursula K.]
1929~。アメリカの作家。カリフォルニア州バークレー生まれ。父は文化人類学者A.L.クローバー、母は『イシ―北米最後の野生インディアン』の著者シオドーラ・クローバー。『闇の左手』をはじめとする大人向けのSF作品でヒューゴー賞、ネビュラ賞など、数々の賞に輝く。「ゲド戦記」シリーズでファン層を飛躍的に広げた。「ゲド戦記」は、始めは三部作だったが、その後長いブランクを経て続編を発表し、読者を驚かせた
清水真砂子[シミズマサコ]
1941年、朝鮮生まれ。青山学院女子短期大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ネギっ子gen
58
再読の素晴らしさも噛みしめながら――。一応3巻で完結したような形になっていたが、前3作は、この名作を書くための壮大な前振りにさえ思える。それくらいの傑作。前回も一読してすぐ好きな作品になったが、こうして今回再読し、時間をかけて熟読すると、前回読み取れなかった(若さ故ということもあるが……)ところで、色々新たな発見があり、作品の素晴らしさを再認識できた。改めて、日頃の飛ばし読みの悪癖を深く反省(とはいえ、静養中というお蔭であり、回復したら、そうはいかないだろうが……)。これからも、折に触れて再読したい。⇒2022/04/25
たつや
54
壮大なスケールなんですね。でも、どこか気が遠くなるような雰囲気がある。あとがきが二つあり、意味がわかる。一度、この4巻で物語は終わるが、また、続編も書いたよということらしい。後半、ゲド、テル―らが暖炉の前で天地創造の歌について話すシーンが暖かく感じ、好きでした。2017/01/27
くたくた
45
壮大で抽象的だった前作までと違って、ついに地に足が付いた感じ。やっと物語が落ち着くべきところに落ち着いた。ゲドが特別な力を失った無力な男として、喪失に向き合い、再生すること。テナーが、一度は望んで受け入れた「女」という理不尽で不自由な在り方に向き合い、ゴハという社会的な女から、テナーという個人に再生すること。暴力と性的な虐待を受け、肉体的に大きく損なわれた少女が、本来の内なる全き姿を取り戻すこと。三者それぞれの喪失と再生の物語だった。全体の生と死という極めて抽象的な物語から、個人の物語への回帰でもあった。2025/03/09
みや
39
火傷を負う少女と暮らすテナーが、魔法の力を失ったゲドに再会する第四巻。オジオン、テナー、アレンが再登場し、映画に出てきたテルーもいて、オールスターの豪華さに嬉しくなった。だが、これまでとは雰囲気が大分違う。今までの三冊は若者たちの心の揺らぎや成長を丁寧に描いてきたが、今回は歳を重ねたテナーが主役であり、育児に悩むお母さんの物語という感じだった。女、妻、母といったテーマは、私には感情移入がしづらい。テナーとゲドのこういう展開も見たくなかった。ショックは大きいが、残り2巻を最後まで楽しみたい。2017/10/02
ワッピー
36
かつて闇の巫女として迷宮に囚われていたテナー。ゴント島で普通の生活を手に入れ、いまや寡婦として農園主となった彼女は火に投じられて殺されかけた嬰児テルーを引き取って育てている。ゲドの師・オジオンの逝去を見送ったテナーのもとに古竜カレシンが瀕死のゲドを運んできた。魔術師クモのもたらした混沌は打ち破られたものの、新王の施策に反感を持つ既得権益の輩は予言に謳われた「ゴントの女」を探し求めていた…。初めて普通の生活を手に入れたゲド、そしてテナーたちに降りかかる危難、そしてテルーの目覚めにはやはり手に汗を握ります。→2025/07/05
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