内容説明
オランダの少年ドルフは、知りあいの博士が発明したタイムマシーンに乗って13世紀へ―。思いがけず彼は何千人もの子どもたちの真っただなかに巻きこまれてしまう。この大集団は、羊飼いの少年ニコラースの率いる少年十字軍だった!中学以上。金の石筆賞、ヨーロッパ歴史児童文学賞受賞作。
著者等紹介
ベックマン,テア[ベックマン,テア][Beckman,Thea]
1923‐2004。オランダの作家。ロッテルダム生まれ。家庭の事情により中学卒業後から働く。1945年に結婚、3人の子どもを育てながら作家への道をめざす。社会心理学を学び、1981年にユトレヒト大学を卒業。1970年代から本格的に作品を発表しはじめる。『ジーンズの少年十字軍』は、74年にオランダの「金の石筆賞」を、76年にはイタリアで「ヨーロッパ歴史児童文学賞」を受賞。84年には歴史教育への貢献が評価され、オランダの「ハウプ・デ・ラウテル賞」を受賞
西村由美[ニシムラユミ]
東京外国語大学英米語学科卒業。1984~86年、オランダに在住。帰国後は、外務省研修所などでオランダ語を教えながら、オランダ語作品の翻訳に携わる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ヴェネツィア
366
テア・ベックマンはオランダの作家。ヨーロッパではそれなりに知られているようだが、日本での紹介は少ない。物語は14歳の少年ドルフが1212年のシュピールスにタイムスリップするところから始まる。そこは、8000人にもならんとする少年十字軍の行軍の真っただ中。帰れなくなったドルフが彼らと行を共にする。冒険物語だが、かなり綿密な歴史考証に基づいているようだ。したがって上巻での冒険はいたって地味なのだが、中世的な思考の在処をうかがわせるところなどは他と一線を画するところ。現代と中世の価値観の両立が見どころか。2021/09/03
たつや
49
現在、岩波少年文庫読破に地味にチャレンジしてるので、たどり着いた一冊。タイトルだけでは多分、手にしていないと思えたけれど、上記の経緯で読了。予想よりは面白い!タイムマシン物なので、突っ込みどころは多いけど、理屈抜きで読み進めてみると、下巻が気になる。2017/04/01
シルク
14
2019年シルク的トップ10のひとつに決定。凄まじく面白い。この物語はすごい、そう思った。20世紀。15歳の少年ドルフは得意満面の叔父の前に立っていた。「御覧ドルフ。遂にわしら、タイムマシンを完成させた!!」この機械に動物を乗せ、別の時代に送り込む。これから実験だ! そう語る叔父に、ドルフは思わずおねだり――ねえ僕を乗せて! 中世フランスの槍試合をこの目で見たいんだ! 「いかん! ここに帰ってこれなくなる可能性がある!」しかしドルフは彼らを説き伏せレッツラゴー。だが着いた先は……少年が青年になる物語上巻。2019/03/19
joyjoy
7
ドルフが十字軍の体制作りにのりだしていくあたりから、ぐんぐん面白くなった。「一人ひとり、自分の可能性を活用しなくちゃならない。神の栄誉のために。」アーメン!2020/07/10
ごる
7
冒頭があまりに唐突すぎてアレだけれども、中々に読ませる本。テンポが早いけど、児童文学ってこんなもんなのかな。読んだ全体の感想としては、教科書一行で済まされる少年十字軍についてこれだけの物語が作れるんだなぁ…ってこと。教科書には、過去生きた人の人生が捨象された形で記述されてることを忘れないでおきたい。てか、ニコラスがむかつくぜい(笑)2011/12/11