内容説明
ローマ軍団の百人隊長マーカスは、ブリトン人との戦いで足を負傷し、軍人生命を絶たれる。マーカスは親友エスカとともに、行方不明になった父の軍団とその象徴である“ワシ”を求めて、危険に満ちた北の辺境へ旅に出る。中学生以上。
著者等紹介
サトクリフ,ローズマリ[サトクリフ,ローズマリ][Sutcliff,Rosemary]
1920‐92。イギリスの児童文学作家・小説家。2歳の時の病気がもとで歩行困難になり、のちに車いすでの生活を余儀なくされる。14歳で美術学校に入り細密画を学ぶが、1950年ごろから小説を発表する。ローマン・ブリテン三部作『第九軍団のワシ』『銀の枝』『ともしびをかかげて』(1959年カーネギー賞受賞)で、歴史小説家としての地位を確立した(のちに4作めとなる『辺境のオオカミ』を発表)
猪熊葉子[イノクマヨウコ]
児童文学者・翻訳家。聖心女子大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ヴェルナーの日記
351
時代は紀元117年頃、イギリスはブリタンニアと呼ばれ、ローマ帝国の支配下にあった。物語はローマ軍団の1つ”第9軍団ヒスパナ”の行方を突き止め、エンブレムであった”ワシ”の紋章を取り戻すこと。第9軍団と言えば、紀元前58年以前にガリア遠征の際にガイウス・ユリウス・カエサルによって創設されたという説があり、とても由緒ある軍団だった。紀元前43年、クラウディウス帝のの命で第14軍団ゲミナと第20軍団ウァレリア・ウィクトリクス、第9軍団がアウルス・プラウティウスを司令官としてブリタンニアへ出征した。2017/03/01
文庫フリーク@灯れ松明の火
102
上橋菜穂子さんエッセイ『明日は、いずこの空の下』きっかけに初サトクリフ。表紙は紀元120年頃ローマ軍が、現イングランドに築いた120Kmに渡る防壁。20年前、消息を絶った第九軍団。その司令官を父に持つローマ軍筆頭百人隊長マーカスは、氏族との戦闘で負傷し、軍人としての夢を絶たれてしまう。叔父の元へ身を寄せるマーカスの耳に届いた、第九軍団は殲滅され、ローマ軍の象徴たる鷲(ワシ)の像が北方氏族の神殿で神としてあがめられているという噂話。第九軍団と父の名誉を取り戻すため、眼医者に偽装し敵氏族たちの中へ潜入、ワシ→2015/02/14
NAO
97
再読。かつてローマの第九軍団がブリテン島北部で消息を絶ったという史実と、カレバという土地で翼のないローマ軍団のワシが発見されたことをもとにした物語。児童向きに描かれたものだが、歴史に忠実で、描かれているのは軍人の世界、先住の諸氏族との戦など、かなり硬派。だがそこに主人公とエスカとの友情が加味され、父の名誉を守るためにローマの宝を取り戻しに行くという冒険要素が加わることで、子どもでも楽しく読めて、ローマ属州時代の歴史を学べる物語に仕上がっているが、大人でも十分に楽しめる内容だ。2019/01/16
抹茶モナカ
68
ローマン・ブリテン4部作の第1作。負傷したマーカスは、闘技場で見たエスカを奴隷として迎え入れる。その後、2人は失われていたローマ第九軍団の象徴であるワシを探して、冒険の旅に出る。心身共に傷付いたマーカスの再生の物語でもあるイギリス児童文学。2015/09/22
Panzer Leader
66
帝政ローマ時代、父が所属していた軍団の象徴である「鷲」を探して北イングランドを旅する青年達の友情・冒険・成長・恋を描いた物語。少年/少女どころか大人が読んでも充分楽しめる。「ローマ人の物語」を読んだりその時代に興味を持っていればより深く理解できる。残りの三部作も是非読みたいなと思った。2016/02/02