出版社内容情報
母方の農場にやってきたペネロピーは,ふとしたことから16世紀の荘園に迷い込み,そこで繰り広げられていた王位継承権にまつわる事件に巻きこまれる.時を往復する少女の冒険.
内容説明
病気療養のため、母方の古い農場にやってきたペネロピーは、ふとしたことから16世紀の荘園に迷い込む。王位継承権をめぐる歴史上の大事件にまきこまれた少女の、時をこえた冒険。中学以上。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェルナーの日記
72
少しばかり体が弱いペネロピーは、農場サッカーズにやってくる。この農場で自然に触れながら健康になっていくが、ある日ふとしたことから16世紀にタイム・スリップ。この場所に幽閉されたスコットランド女王メアリーを解放しようとしたアンソニー・バンビトンのトンネル事件に巻き込まれてしまう。過去と現在を行き来しながら、多感な少女ペネロピーの精神の成長を描いた物語。 物語の見所は、著者アリソンの描くイギリスの田舎・サッカーズ農場の風景だ。彼女自身が18歳まで過ごした場所で、とても活き活きと精緻で丁寧に描いている。2011/10/13
Willie the Wildcat
71
時間が紐解く木彫りの人形とロケット。秘められた想いと願い。ペネロピーの純粋な心が、2つの空間を、そして心と心を結びつける。歴史の”掟”と愛情に揺れるペネロピーの心の葛藤が印象的。「サッカーズの精神」は、もれなく受け継がれるはず!蛇足だが、「猫の餌売り」とは時代なのだろうか、それとも文化なのだろうか・・・。(汗)2014/07/28
yumiha
54
アンソロジー『わたしのなつかしい一冊』の中で、江國香織紹介本。少し虚弱な少女ペネロピ―は、田舎で療養するうちに時を越えて16世紀へ。エリザベス一世と王位継承権を争ったメアリー・スチュアートを幽閉から救い出そうとしたアンソニー・バビントンの元の屋敷が、田舎のおばさんの家だったから。歴史なんてタイムマシンでこの目で確かめないとほんまのこと、わからんやろ~と思いがちな私にとって、なんとも羨ましい設定。16世紀の田舎の暮らしが、匂いとともに立ち上がってくる。床にハーブを敷き詰めた部屋ってどんなんやろ~と魅力的だ。2022/12/16
みつ
45
ツヴァイクが書いたメアリ・スチュアートの伝記(そちらでは「メリー」と表記)を読み終えてから手に取ろうと考えていた。イギリスの田園風景とそこでの暮らしが美しく描写される。主人公の姉の言葉から事件は「320年以上前のこと」(p140)というから、物語の「現在」は20世紀初頭らしい。この時期の古い家には16世紀の装飾品や文書なども残されているようで、それゆえ少女ペネロピーは、頻繁にふたつの時代を往復できるということか。当時の新しい歌(p292)であったグリーン・スリーブスの哀切な調べが、幾度も繰り返される。2024/09/04
ミーコ
45
司書さん オススメ本。翻訳書は苦手で途中で何度も挫折しそうになりながら 読み進めました。過去と現在を生きる少女・・・ 不思議な物語でした。後半は建物や景色を見ている様な感覚に・・・。違った世界を旅した様な気持ちになりました。2018/01/25