出版社内容情報
1848年11月。12歳のロッタは、ボストンの街をさまよっていた。祖国ドイツから約束の地にやってきたのに、父さんは酒びたりで仕事もうまくいかない。母さんが望む教育も、貧しい移民だから受けられない。失意の日々のなか、ロッタは貧民救済活動を行うオルコット一家と知り合い、自らの道を見つけだす。史実に基づいた成長物語。
内容説明
1848年冬。12歳のロッタは一家で祖国ドイツからボストンにやってきたのに、母さんが望む教育も受けられない。父さんは酒びたりで仕事もうまくいかない。失意のなか出会ったオルコット家との交流により、ロッタは自らの道を見つけだす。小学5・6年以上。
著者等紹介
谷口由美子[タニグチユミコ]
山梨県生まれ。児童文学翻訳家
平澤朋子[ヒラサワトモコ]
東京生まれ。イラストレーターとして幅広く活動(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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はる
56
1848年、移民としてドイツからアメリカにやって来た12歳のロッタと家族。だが全てが上手くいかず、父は姿を消し、家族は皆体調を崩してしまう。頼みの長男まで逮捕され、一家はどん底の生活に。だが、福祉活動をするオルコット家の人達と偶然知り合いになったことから、少しずつ明るい方向に……。「若草物語」の作者オルコットの家族が登場。若草物語の家族そのままのようで楽しい。あくまでロッタが主役で、彼女の成長物語だが、オルコット家の人達も魅力的に描かれている。特にオルコット自身であるルイザは若草物語のジョーそのまま。2023/07/31
ぶんこ
38
ドイツから移民としてアメリカのボストンにやってきたミュラ一家。仕事がなく、父は行方不明になり長男は一家の食料調達のため罪を犯してしまう。そんな時に知り合ったオルコット一家により、少しずつ生活が安定していく。読んでいてオルコット一家がまるで若草物語の登場人物みたい・・と思っていたら、作者の言葉で、まさに若草物語の実在の人々でした。オルコット氏の人脈で父には牧場の仕事、母や子どもたちには、父が呼び寄せてくれるまでの家が用意される。ミュラー家の長女ロッタが中心となってのアメリカでの生活が築かれて行く物語でした。2023/08/18
Roko
36
新しい環境で暮らすようになったとき、それに上手く適応できない父親の姿が印象的でした。その原因が言葉だということに、本人は気づいていたのでしょうけど、それを相談できる人がいなかったのです。ロッタは学校へは行けなかったけれど、オルコット家の人たちを通して本を読むようになり、言葉を覚え、社会の仕組みを知っていきました。そして、困ったときに相談できる人を見つけたのです。その差は大きいなと感じました。そして、女性も働いてお金を稼ぐことができるということを知ったのも重要です。オルコット一家に出会えてよかった。2023/10/13
mahiro
26
ドイツからの移民のロッタが若草物語を書いたオルコットの一家と知り合い人生を切り開いて行く。実話と思ったがロッタは架空の人。迫害や貧しさから逃れてボストンに来た移民達を待っていたのは困窮と差別。ロッタの父は非識字者故に職につけず行方不明、子沢山のお母さんのお腹には次の赤ちゃんが…そんな中でもアイルランド移民の少年や創作好きのオルコット家のルーイと友達になったりロッタは困難を乗り越えてお針子として自立の道を見つけ、家族も新天地に生活の目処がたちそうという所で話は終わる。天から降ったような幸運ではないのがいい。2023/12/12
長くつしたのピッピ
21
ドイツからの移民がオルコット一家と遭遇して家族を立て直すストーリー。児童書特有の前向きで希望が持てる展開が素直に心に響く。オルコット一家は、若草物語同様の家族構成で、そこも懐かしくて嬉しい設定。苦しくても必ず幸せが訪れる児童書の展開は、読者である子ども達に希望を与える。オーソドックスだけど、このような展開が一番好き。2023/10/04