出版社内容情報
犬との生活を夢みるベン。思いはつのり、やがて想像の犬を飼いはじめるが……。[解説・小川洋子]
内容説明
ロンドンに暮らすベンの夢は犬を飼うこと。誕生日、待ち望んでいた犬のかわりに犬のししゅう絵をもらって失望したベンは、想像の犬を飼いはじめる。激しく変化する少年の心をくっきりと描いた、ピアスの傑作。小学5・6年以上。
著者等紹介
ピアス,フィリパ[ピアス,フィリパ] [Pearce,Philippa]
1920‐2006。イギリスの作家。ケンブリッジ州のグレート・シェルフォドという田舎町に生まれた。代々その地で大きな製粉工場を経営する家系だった。ケンブリッジ大学を卒業、のちに英国放送協会(BBC)で学校放送を担当した。『ハヤ号セイ川をいく』で作家としてデビュー。『トムは真夜中の庭で』でカーネギー賞を受賞した
猪熊葉子[イノクマヨウコ]
児童文学者・翻訳家。聖心女子大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
118
フィリパ・ピアスの3冊目の本です。「トムは真夜中の庭で」が好きで何度か読みましたが、このような本もあったのですね。ある意味少年の成長物語という気がしました。犬を飼いたいという夢を実現できずに想像上の犬を作り上げてということでここら辺は最近の何でも欲しいものが手に入る状況に比べて非常に印象に残りました。また最後の方では本当の犬を飼うことができたのに想像の犬から離れられないのですが・・・・、余韻が残る決着でした。2022/10/18
seacalf
75
燻銀な魅力を放つ良作。5人兄弟のちょうど真ん中のベンは誕生日の贈り物として犬を期待していたが、その願いは儚く裏切られる。でもロンドンの自宅では飼えないし、約束を果たせなかった祖父の事情もわかる。叶わない願望がまぼろしを生んで物語は進んでいく。夢見がちだが思慮分別をつつある年頃を実に上手に描いている。祖父母はそれぞれ無骨だが魅力的。人物も風景も時代柄がよく出ていて興味深く読める。フィリパ・ピアスと言えば自分にとっては『ハヤ号セイ川をいく』。中盤で主要人物達がカメオ出演しているのがとても嬉しかった。2022/11/08
はる
72
良書。ずっと読みたかったが、岩波が復刻してくれた。しかも表紙は牧野千穂さん!犬が飼いたくてしかたがない少年ベン。だが、家庭の事情で無理。そこで彼は空想の中で犬を飼い始める…。少年の一途な想いがいじらしい。でもやっぱり犬を理想化しすぎてしまうんですね…。ラストでそこをしっかり描いているのが凄いと思いました。おじいさんとおばあさんが魅力的。特におじいさんの素朴な優しさが素敵です。2020/03/15
アルピニア
69
【祝・岩波少年文庫創刊70周年!(2020年)】 自分の犬が欲しいというベンの一途な思い。そんなに思い詰めなくても・・と思ったが、ふと私も子供の頃に約束を守ってもらえないと癇癪をおこしていたことを思い出した。確かに期待が大きいほどそれが裏切られた時の落胆も大きかったなぁ。思いはどんどん募って理想のチキチトへと凝り固まっていく。そして最後のひと波乱。どうなるかとハラハラしたけど、ベンは目の前にあるものの良さに気づくという大きな成長を遂げた。最後のシーン、一人と一匹の後ろ姿に良かったね!と声をかけたくなった。2020/08/20
syaori
65
犬を飼いたい少年が犬を飼うまでのお話。主人公は都会の狭い家では犬など飼えないことを理解するくらいは大人で、しかしそれでも〈見えない犬〉を想像してしまう彼がいじらしく感情移入してしまいます。結局彼は犬を手に入れるのですが、素晴しいのはそれで大団円ではないこと。犬に限らず、私達は目の前のものに勝手な理想や先入観を持って臨みがちですが、それを押しつけるのでは真の関係は築けないのだと示唆する最後はとても温かで、家の事情や理想と現実のギャップなど様々な現実を受け入れながら成長してゆく少年の姿にとても励まされました。2021/08/17
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