出版社内容情報
作家を夢見るプリスカと、親友のエリザ、ロザルバは、貧しい家庭の生徒を差別する担任の先生に、あの手この手で戦いを挑みますが…。
内容説明
先生のえこひいきはエスカレートするばかり。おまけにクラスは、受験ムード一色にそまり、息をつくこともできません。それでも、プリスカたちはひるまず、あの手この手で先生に戦いを挑みます。カメのディノザウラの大活躍で…。小学5・6年以上。
著者等紹介
ピッツォルノ,ビアンカ[ピッツォルノ,ビアンカ] [Pitzorno,Bianca]
1942~。イタリアのサルデーニャ島生まれ。大学で古典文学を専攻したのち、映像理論について学び、国営放送局で子ども番組の制作にたずさわる。1970年から創作活動をはじめ、ファンタジーから写実的な物語、歴史小説など、幅広い読者層にむけた多彩な作品を発表。現代のイタリア児童文学界を代表する作家として活躍する
関口英子[セキグチエイコ]
埼玉県生まれ。大阪外国語大学イタリア語学科卒業後、翻訳家として活躍。児童書、小説、ノンフィクション、映画字幕など幅広い分野を手がける(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
かもめ通信
24
物語の展開は勧善懲悪とはほど遠く、主人公たちはもちろん読者である私でさえも、時に無力感にさいなまれずにはいられません。けれども、子どもたちも読者も思い知らされるのです。弱い者いじめも、先生へのおべっかも、えこひいきも、教室で繰り広げられる悪は、どれも大人社会の縮図であることを。 読んでいる最中はもちろん、読み終えた後、あなたもきっと思うでしょう。がんばれ、私のクオレ!がんばれ、あなたのクオレ!!って。2018/01/08
ぱせり
13
印象に残るのは、先生が保護者会を開いて、「飛び級」について、親たちに説明する場面。「飛び級すれば、子どもは一年得をする」と言う親たちのなかで、エリザの叔父のレオポルドは言う。 「ぼくには損をするようにしか思えません。子ども時代が一年、短くなります」 レオポルドおじさんの考える「子ども時代」が好きだ。このおじさんに育てられたエリザが羨ましいな。 2017/11/22
いっこ
8
アミーチスの『クオレ』が、イタリアの国家統一運動の時期に愛国心を少年たちに持たせるという目的から、大人の価値観に基づいた物語であるのに対し、子どもの視点から小学校生活を書いてみようとした著者の思いはよくわかる。子どもの視点とは言え、三人の少女の公平などに対する感覚が優れているのは、家族の影響が大きい。公立の学校は貧富に関係なく、そういう感覚を身につけていく場所なのにね。プリスカの書く物語、読んでると溜飲が下がる。2021/02/22
ひとみ
8
貧しい家の子に対する先生のいじめは正視に耐えず、おまけに中学への受験勉強まで始まってしまう。プリスカやエリザたちはなんとか知恵をしぼって先生を懲らしめようとするがなかなかことは上手く運ばない。一度はギャフンと言わせることに成功するがそれだけに終わり根本的な問題は解決できず、読者は経済格差と差別を目の当たりにしてどのように振る舞えるかについて考えざるを得なくなるという苦い結末を迎える。しかしおてんば少女達や個性的な人たちが登場する愉快で楽しい物語として繰り返し読みたくなるあたりが素晴らしい。続編も読みたい。2017/04/27
Alm1111
7
デ・アミーチスの「クオレ」の構造と同じく、毎月のお話が入る。しかし先生の話としてではなく、お話好きなプリスカが書く創作物語だ。教室内にはびこる教師による暴力に、物語を書くことでした鬱憤を晴らせないプリスカ。身体を張って先生に立ち向かうエリザだが信頼していた家族は理解してくれない。9歳の少女たちが大人の不正と闘うのはなんと困難なことか。全くの濡れ衣から退学させられた貧しい階級のイオランダ、アデライデが不憫でならないし、その解決はこの物語にはない。あの教師もそのまま変わらないだろう。カタルシスは得られない。2024/05/02