出版社内容情報
作家を夢見るプリスカと、親友のエリザ、ロザルバは、貧しい家庭の生徒を差別する担任の先生に、あの手この手で戦いを挑みますが…。
内容説明
プリスカ、エリザ、ロザルバのなかよし3人組のクラスに、とびきりきびしい先生がやってきます。正義感の強いプリスカは、怒りのあまり心臓がドキドキ、いまにも破裂しそうです。イタリアの子どもたちを夢中にさせたゆかいな学園物語。小学5・6年以上。
著者等紹介
ピッツォルノ,ビアンカ[ピッツォルノ,ビアンカ] [Pitzorno,Bianca]
1942~。イタリアのサルデーニャ島生まれ。大学で古典文学を専攻したのち、映像理論について学び、国営放送局で子ども番組の制作にたずさわる。1970年から創作活動をはじめ、ファンタジーから写実的な物語、歴史小説など、幅広い読者層にむけた多彩な作品を発表。現代のイタリア児童文学界を代表する作家として活躍する
関口英子[セキグチエイコ]
埼玉県生まれ。大阪外国語大学イタリア語学科卒業後、翻訳家として活躍。児童書、小説、ノンフィクション、映画字幕など幅広い分野を手がける(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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かもめ通信
22
書店横断フェア「はじめての海外文学 vol.3」の1冊。訳者の解説によればイタリア語のcuoreは英語のheartと同じように、心臓だけでなく「心」や「胸の内」「気持ち」などいろいろな意味を持っているとということ。現代イタリアを代表する児童文学作家ビアンカ・ピッツォルノが、自身の子ども時代、1950年代のイタリアを舞台として作り上げ学園物語は、少女たちの夢や憧れだけでなく、激しい憤りや悔しさをいきいきと描きだしていた。2018/01/08
ぱせり
13
各章と章の間に挟まれた、プリスカによる創作童話がとってもおもしろい。楽しい章ごとの振り返りでもあるが、心動かされるのは、子どもが、不快な現実を乗り越えるための手段として、体験したことを物語にしたててしまう、その逞しい想像力と筆力だ。プリスカの将来の夢は、作家。きっとなれるよ。自分の子ども時代を題材にした作品で有名な作家になるよ。 2017/11/22
Alm1111
6
デ・アミーチスの「クオレ」を現代(といっても1950年頃が設定)に舞台を移し、少女達の目で描いた一年間の物語。クオレのような立派な先生とは大違い。出てくるのは圧倒的な権力を持ち、金持ちや名士の娘にえこひいきし、金持ちにこびへつらい、貧しい子女を徹底的に差別し暴力を振るう鬼のようなスフォルツァ先生だ。恐ろしい。まるで「マチルダは小さな大天才」に出てくる校長のようだ。先生に対して義憤を抱きつつもプリスカ、エリザ、ロザルバ少女達のなんと無力なこと。彼らは先生に復讐することが出来るのか。。。2024/05/01
いっこ
6
サルデ―ニャ島の小学校に通うプリスカ、エリザ、ロザルバの物語。『小公女』のミンチン先生みたいな担任の、強烈なえこひいきに立ち向かっていくのが、凄い。今の日本なら 教育委員会に訴えられるような差別が続き、当時は親も社会も「しかたない」と考えたのだろう。紙できせかえ人形を自分で作って遊ぶところ、日本では切り抜けばいいものが市販されていたけれど、懐かしく思い出した。2021/02/22
timeturner
6
大戦直後のサルデーニャ島の貧しさは知っていたが、これほどの貧富の差があったことに驚く。貧しいことが犯罪であるかのように振る舞うスフォルツァ先生、むかつくなあ。2017/08/11