内容説明
ユダヤ人は、約二千年ものあいだ、世界各地に散って暮らしてきました。それぞれのユダヤ人社会のなかで語りつがれてきた、とんちやユーモアのきいた民話、ユダヤ教のたとえ話、聖書の「創世記」からの物語など、38編を収めます。小学5・6年以上。
目次
各地に伝わるユダヤの民話(ふしぎな財布;たまご一個とメンドリ千羽;キツネの仕立て屋;キツネとクマのクルミのとりいれ;死神の使い ほか)
「創世記」のはなし(光と闇―昼と夜ができるまで;命の息;動物の王になりたかった蛇;涙の起源;はじめての死―カインとアベル ほか)
著者等紹介
母袋夏生[モタイナツウ]
1943~。長野県生まれ。ヘブライ文学翻訳家。1970年にイスラエルに留学し、ヘブライ大学文学部修士課程実用言語コース修了。出版社勤務をへて翻訳業に専念する。1998年ヘブライ文学翻訳奨励賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
へロム
53
ユダヤ民話や創世記からの話しが38編掲載されています。ショートショートを読んでいる感覚で直ぐに読め、小学生5,6年以上となっていますが、大人でも十分楽しめます。えー、こんな終わり方?みたいなものがあれば、含蓄のある話しもあり、飽きません。【町のライブラリー】2016/08/05
帽子を編みます
50
この題名をみたら読みたくなります。ユダヤの民話です。各地に伝わるもの(ユダヤの民は世界各地に広がったので中東、欧州、アフリカ…)と、旧約聖書から「創世記」の話です。とんちの利いた話、不正を裁判で暴くもの。お姫様の結婚の話も面白い、リア王みたいな末の姫追放されるのですが、母に財宝を持たされ、怠け者の男をびしびし鍛えて働き者にして結婚します。そして王様が…。「涙の起源」は失楽園の話なのですが、涙が重荷をといて、痛みをやわらげ、流すたびに希望が湧いてくるだなんて!涙がこれほど素晴らしい贈り物だとは、驚きました。2020/10/19
たつや
50
ユダヤの民話集ということですが、巻末には旧約聖書もあり、実に面白い本でした。「リンゴの奇跡」は気持ちいいくらいのハッピーエンド。「ベドウィンの羊」は「北風と太陽」と落語の「死神」を合わせたようなお話。教訓も多く、本当にどれも面白い話で良い本でした。2017/01/12
スプーン
39
ユーモラスな題に負けないぐらいの、豊かで機智に富んだ短編集。民話独特の雰囲気は、読む者を異国へといざないます。おススメの短編民話集。2020/11/18
タカラ~ム
22
#はじめての海外文学 vol.4で編訳者でもある母袋夏生さんが推薦しているのが本書です。ユダヤの民話と創世紀に記される『アダムとエバ』や『ノアの方舟』の物語が収録されています。ユダヤの民話に限らず、日本のお伽噺でもそうですが、こういうお話は読みやすく、面白く、そして風刺も効いています。そして、読み終わってみると、「あれ、これって今のこういう問題に似てるんじゃないか?」と考えさせられます。岩波少年文庫として刊行されていますが、内容的には大人も楽しめる一冊だと思います。2018/11/06