出版社内容情報
春,休暇をヨットで過ごすことになったディックとドロシアは,鳥を愛する地元の少年トムと知り合い,念願のセーリング技術を学ぼうと,胸をおどらせます.ところが,トムがひなをかえすオオバンの巣を守ろうとして,ある事件を起こしてしまいます.ノーフォークの湖沼地帯を舞台にくり広げられる,スリルにみちた追跡劇.
内容説明
ディックとドロシアは、水郷ノーフォークで、地元の少年トムと知り合い、念願のセーリングを学ぼうと、胸をおどらせます。ところがトムが、オオバンの巣を守るために、好き放題の観光客たちと対立して…。小学5・6年以上。
著者等紹介
ランサム,アーサー[ランサム,アーサー][Ransome,Arthur]
1884‐1967。イギリスの作家。リーズ大学中退後、『オスカー・ワイルド』など文芸評論を書く。1913年にロシアに赴き、昔話を集めて『ピーターおじいさんの昔話』を刊行。ロシア革命時には新聞特派員として活躍した。『ツバメ号とアマゾン号』(1930)にはじまるランサム・サーガ12巻で児童文学作家の地位を確立
神宮輝夫[ジングウテルオ]
青山学院大学名誉教授(児童文学)。1932年、群馬県生まれ。早稲田大学大学院修士課程修了。イギリス児童文学の訳書多数。第12回国際グリム賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
たつや
46
最近まで、アーサーランサムの存在すら知りませんでしたが、シリーズの多さに辟易としていたけれど、いざ読んでみると、読みやすく、作者の持つ記憶や世界観、自然への敬意等が詰まっていて、百パーセント面白いとは思っていないけれど概ね素晴らしい作品集であり、他人に薦める事も出来る良書と出会え、ラッキーだと思える。2017/04/25
Die-Go
44
図書館本。ディックとドロシアの姉弟は念願のセーリング技術を習うはずだったが、頓挫し、気落ちしていた。しかし、そこに操船の手練れの少年トムが現れ、姉弟の師匠となることに。今回もワクワクドキドキの冒険が繰り広げられる。ほんとにこのシリーズの大人達は子どもの自主性を重んじ、冒険心を否定しない。★★★★☆2021/11/18
ぶんこ
42
今回にはツバメ、アマゾンのメンバーは登場せず、D姉弟が母の恩師であるミセス・バラブルが借りたティーズル号に招待されました。楽しみにしていたクルージングですが、船を動かせる人がいなくなり、がっかりしていた時に知り合っとオオバンクラブの子ども達と、その子ども達が巻き込まれた無法者とのノーフォーク湖沼地帯での逃亡劇が始まりました。大型キャビン付きモーターボートの傍若無人な振る舞いにハラハラし、他の人を巻き込んだと心痛めるトムを応援したくなる。2017/04/30
ユメ
37
ノーフォーク湖沼地方へやってきたディックとドロシア。ひと足遅れて物語に登場し、自分たちもツバメ号やアマゾン号の乗組員たちのようにセーリングを習得したいと恋い焦がれる二人は、ランサム・サーガを読んで帆船の面白さを知った読者の共感を誘う。なので、彼らがオオバンクラブと出会って航行する機会を得たことが、他人事ではなく嬉しい。それにしても、双子の名前がポート(左舷)とスターボード(右舷)とは秀逸だ。ナンシイもそうだけれど、船乗りとしての自分に似合わない名前なら改名してしまおう、という子どもたちの気風のよさが好き。2017/09/14
けんちゃん
22
ランサム・サーガ、順番で言うと5作目になるのでしょうか。新版刊行順に読んでいるので、4作目。タイトルだけ見たら、全然別の世界のお話のように感じますが、今回はD姉弟があらたに出会う仲間たちとくりひろげる冒険のストーリー。初めて「悪意を持った困難」と遭遇し、今までにはなかったドキドキの展開もあり、またいつも変わらぬイングランド湖沼地方の穏やかな描写もあり、そのコントラストがすてきでした。子どもたちを支える理解ある冒険好きな大人の存在が今回も際立っています。2012/08/28