内容説明
第二次大戦直後のイギリスで、戦争ごっこにあけくれる少年たちの物語。ある日、みんなでかせいだお金が消えてしまいます。犯人を見つけ、お金をとりもどそうとするうちに、いつのまにか、悪党一味の大犯罪があきらかに…。小学5・6年以上。
著者等紹介
ルイス,セシル・デイ[ルイス,セシルデイ][Lewis,Cecil Day]
1904‐72。アイルランド生まれのイギリスの詩人、小説家。1951年からオックスフォード大学の詩学教授をつとめ、1968年には、詩人として最高の名誉職である桂冠詩人の地位を授かる。名高い詩人のオーデンやスペンダーと並び称された一方、ニコラス・ブレイクというペンネームで、『野獣死すべし』など、数多くの推理小説を書いた。『秘められた傷』では1968年にイギリス推理作家協会のシルヴァー・ダガー賞を受賞
脇明子[ワキアキコ]
児童文学者・翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ヴェルナーの日記
137
これぞロンドンっ子たちの物語(物語ではオタバリという架空の町がモデル)。作品の出来として少々不満が残る。視点が主人公ジョージであり、信用できない視点によって物語が語られる。地の文章と、会話の文章に変化が乏しいので、読みにくさが際立ってしまう。また、信用できない視点であるがために、物語の全体像がつかみにくい欠点がある。物語は単調なストーリーだが、内容自体は面白く仕上げっているだけに、いささかもったいない作品といえよう。ちなみに当時のイギリスのお金の数え方は、アナログ時計の文字盤を使うと簡単に計算できる。2015/07/18
新地学@児童書病発動中
116
少年たちの活躍に胸が熱くなる物語。友達のために集めたお金が盗まれたので、英のオタバリの少年たちは自分たちで捜査を始める。たわいのないのものだが、伏線も張られているので、ミステリとしても楽しめる。このあたりは、『野獣死すべし』などの大人向けのミステリで鍛えた腕が生かされているのだろう。後半の畳みかけるようなプロットの展開は見事で、ページを捲る手が止まらなくなる。どんなことがあっても、友達を信じること。その素晴らしさを教えてくれる名作。2016/09/22
mocha
84
セシル デイ=ルイス…え、あのダニエル デイ=ルイスのお父さん!しかもニコラス=ブレイクの本名!と、変なところでテンションが上がる。本書はわんぱく小僧たちが悪漢をやっつける痛快な少年読みもの。大人の手を借りず。仲間と一致団結しての探偵ごっこは男の子の普遍的な憧れだと思う。戦争の傷跡がまだいえない時代背景だけれど、子どもたちのエネルギーがいきいきと感じられた。2020/05/07
syaori
58
こんな冒険を、子供のころ誰もが夢見たのではないでしょうか? 舞台は第二次大戦後の英国。始まりは、戦争ごっこに勤しむ少年たちが窓ガラスを割ったこと。対立していたグループが講和を結んでガラス代のために一丸となってお金を稼ぎ、それがあの大手柄に繋がるなんて本当に夢のよう。もちろんこの結果は、トピーは機転を、テッドは不屈の精神を、ニックは実直な信頼と友情をというように大きな問題を前にそれぞれの長所を発揮し勇敢に振舞ったからこそ。彼らの思慮と勇気が合わさった活躍を見てきた最後は、もう探偵たちのお手柄に鼻高々でした。2018/06/29
seacalf
51
読友さんの感想に惹かれて長らく積読にしていたが、名作はいつ読んでも素晴らしい。大戦後のイギリスを舞台に戦争ごっこに明け暮れていた腕白少年達が危機に陥った仲間を救う為に一致団結、それぞれの持ち味を十分に発揮して問題を解決。清々しいまでに清廉潔白な少年達を見守っていると、まだ世界がキラキラしたワクワクするものたちに溢れていて、好奇心のおもむくままに伸びやかに行動していた少年時代を蘇らせてくれる。ラストのブルック警部と校長のセリフには少年達と一緒に大喝采をあげたくなり、すこぶる爽やかな読後感をもたらしてくれる。2024/11/02