内容説明
ヨーロッパに古くから語りつがれてきた、悪がしこいきつねライネケの物語。ライオン王の御前で、狼、うさぎ、にわとりなど、動物たちがつぎつぎにきつねの悪行をうったえる。言葉たくみに王をだまし、死刑をのがれたライネケは…。
著者等紹介
ゲーテ,ヨハン・ヴォルフガング・フォン[ゲーテ,ヨハンヴォルフガングフォン][Goethe,Johann Wolfgang Von]
1749‐1832。ドイツの文豪。青年期には「疾風怒涛」と呼ばれる文学運動、壮年期にはドイツ古典主義を代表する詩人・作家として、シラーと並び称される。多くの詩集、戯曲『ファウスト』、小説『若きウエルテルの悩み』『ヴィルヘルム・マイスターの修業時代』、叙事詩『ライネケ狐』、また『イタリア紀行』など、数多くの傑作を残した。ワイマール公国での政治家生活のかたわら、イタリアで美術を研究、自然科学のさまざまな分野でも研究の成果をあげた
上田真而子[ウエダマニコ]
1930年生まれ。京都ドイツ文化センター勤務の後、児童文学の翻訳を始める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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新地学@児童書病発動中
102
文豪ゲーテが書いた詩を、読みやすいように散文の形にした本。きつねのライネケはとんでもない動物で、悪行を重ねる。王様のライオンは激怒して、ライネケを厳しく罰しようとするが、ライネケの舌先三寸に丸め込まれてしまう。ゲーテの真意を見極めるのが難しかった。ライネケはどう考えても悪と言える存在だ。それでも罰せられることはない。善と悪という単純な二元論を風刺するために、ゲーテはこの作品を書いたのではないか、と思った。悪を根絶しようとする態度が、悲劇を起こすこともあるのだ。2017/08/22
ぱせり
5
ライネケはほとんど自分の手を汚さないのに動物たちはとんでもないめにあわされる。その顛末や狐の滅茶苦茶な言い逃れはおもしろいが、残酷だし、ぼかしてあるがきわどい場面も出てくる。だけど、これ、ほんとうは子どものための物語ではないよね、と思うのは、あの唖然とさせられる結末のせいだ。苦い苦い。2025/03/18
読書日記
5
個人的に天才だと思う作家、ゲーテの小説ということで。ファウストと同じく、ゲーテが一から考えた話でなくて、元々語り継がれてきた動物叙事詩とのこと。狐の甥が狸だったり、鳥と肉食獣が一緒に暮らしてたり、人間も出てくる、児童書らしいよく分からない世界観のパターン。とにかく皆食いしん坊だったり欲張りだったり、ライネケだけが悪いとはいえずどっちもどっち。子供向けなのに、結局勧善懲悪でもなく、上手く立ち回った方が勝つというなんの教訓もない話。正直に生きてる人にとっては救いがない。絶望的。2023/08/03
うりこ
4
ヨーロッパに古くから語り継がれてきたきつねのライネケの物語。その物語をドイツの文豪ゲーテが12章に分け、六脚韻詩形で書いたもの。それをさらに翻訳者の上野さんが、児童書用に散文で読みやすく編集しなおしたという。いやはや口で世間の悪道を闊歩するがごとく、悪行に悪行を上塗りする、心底悪の塊!性根の悪いきつね物語だが、面白いのなんの!能弁ぶりはセリフ劇を観るよう。スリリングでさえある。悪知恵と言葉の力の凄まじさ!最後にはきっとやられるだろう、真実が真実として示されるだろう、はなかった!唖然としつつ一気に読了!2025/11/05
松尾 霙
2
こんな人はいつの世もどこにもいるもんだって言われると思い当たるふしがあるけれど、自分をかえりみてしまう癖が出る。人ごとと思えずに捉えるとそら恐ろしいお話。 キツネの悪業がこんなにまで見過ごされていくなんて本当に恐ろしい。 訴えでる勇気だけでなく、知恵も使わないと人間の悪業は止めることができないな。 世間ではいい人、聖人に映っても、身近で接してみると実はね……というのは本当によくある。 また、考えすぎると何が正義で悪かわからなくなる。 これは、昔から私の中のテーマかもしれない。2016/10/18




