出版社内容情報
熊本の緑川に美しいアーチ型の霊台橋が築かれたのは,さむらいの時代が終わりをつげようとしていたころ.そこには,命をかけて弟子たちを育てた職人・岩永三五郎の物語がかくされていた.
内容説明
九州地方には、江戸時代末期に石だけでつくられた、美しいアーチ型のめがね橋が数多くある。その石橋づくりには、つらい過去とたたかいながらも、命をかけて弟子たちを育てた名職人・岩永三五郎の物語がかくされていた。小学5・6年以上。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
104
少年文庫とはいうものの、どちらかというと大人向きという気もしました。江戸時代からここに書かれているような石の橋がつくられていたということなのですね。海外には古代ローマの時代からあったようですが、一つの石(要石)がこのような橋では重要だということがよくわかります。この話では、薩摩に連れてこられた石工が、殺されずに肥後へ帰される状況を物語仕立てにしています。やはり技術を持っている人は昔でも大切にされたということなのでしょう。2025/04/06
はる
65
思いのほか読み応えがあった。江戸時代末期、石だけで作られた5つの美しいめがね橋。だが、これを作った石工たちは秘密を守るために国境で切り捨てられてしまう。ただ一人生き残った三五郎は…。厳格な身分制度のある時代。些細なことで武家に命を奪われる市井の人たち。それでも必死に生きていく人たちの、様々なドラマ。僅かな資料からこれだけの物語を作り出す作者の技量が凄い。骨太の児童書。 2021/04/18
tomoko
40
江戸時代に実在した肥後の石工、岩永三五郎を主人公とした物語。石だけで造られたアーチ型の眼鏡橋‥その技術は素晴らしい。さらに、城に敵が攻めてきた時のために、石を1つ抜くと崩れる橋なんて凄すぎる。物語では、藩の秘密を知った石工たちを「永送り」といって抹殺したとあるが、これは本当にあったかどうかは定かではないようだ。子供の売り買いの場面は「山椒太夫」を思い出した。三五郎の技術は弟子たちに伝承され、東京の二重橋や日本橋などに生かされたとのこと。この先の未来にも繋いでいってほしい。2020/09/11
花林糖
25
(図書館本)実在した肥後の石工職人、岩永三五郎を主人公にした時代小説。純粋に石橋を作る物語だと思っていたら全く違った。三五郎の哀しく辛い物語だけれど、面白くて一気読み。乞食姉弟のその後が知りたかった。2016/06/13
絵本専門士 おはなし会 芽ぶっく
19
戦国時代から江戸時代にかけて、石を積み上げて城や橋を造る技術は進化していった。職人が名人と言われるまでの話ですが、実は職人たちは秘密を守るため殺されていたらしい。名人と言われる職人は生き残った人だというのが衝撃でした。 『司書と先生がつくる学校図書館』より6年生向け。2020/02/24
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