出版社内容情報
クリスマス・イヴの日,マリーはドロッセルマイヤーおじさんからのプレゼントの中に,クルミわりを見つけます…夢と現実が入りまじって紡ぎ出されるドイツの幻想的な物語.
内容説明
クリスマスイヴの日、フリッツとマリーのきょうだいは、不思議なドロッセルマイヤーおじさんからのプレゼントを心待ちにしていました。たくさんのおもちゃの中に、マリーはクルミわりを見つけます……夢と現実が入りまじって紡ぎ出されるドイツの幻想的な物語。小学5・6年以上。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mocha
92
〈クリスマス本〉抄訳の絵本や人形劇、バレエなどで何度も触れていたけれど、原作をきちんと読んだのは初めて。きらびやかなおもちゃとお菓子に彩られた物語。元はホフマンが友人の子どもに語り聞かせたものということで、古き良き「お話」らしく語り口が優しい。とは言え、7つ首のネズミなどおぞましい部分もあり、ドイツのファンタジーらしさを感じる。ドロッセルマイヤーおじさんは作者を投影しているらしく、その怪しさがお話の雰囲気を深めている。デュマ版も読んでみたくなった。2018/12/14
ehirano1
91
話の内容云々よりも、本作がホフマン、デュマ、チャイコフスキー、バランシンがとバトンが繋がれてきた作品と言うだけでも凄い。これはもう人類の作品と言っても過言ではないと思いました。一方で、本作の中には著者であるホフマンが居るというのもまた感慨深くも、ビハインドストーリーを知ると哀しくもあります。2023/05/05
吉田あや
80
ミステリアスなドロッセルマイアーおじさまの不思議なお話と、純粋で勇敢な少女マリーの心を掴んで離さないクルミわり人形を巡る、煌めくクリスマスの魔法に包まれたファンタジックなお伽噺。お話はもちろん、描写の細やかさ、美しさに魅了されて、子供の頃何度も読んだ大好きなホフマンの世界。この物語が紡がれた1816年の日本は江戸時代。西郷隆盛や坂本龍馬が「日本の夜明けぜよ!」と奮闘する少し前の時代と繋がっているなんて、時代と世界を並列させるとより不思議な世界に迷い込むよう。2018/12/23
seacalf
55
映画版『くるみ割り人形』を観た。主演のマッケンジー・フォイがとても可愛らしい。しかしこれまでに観劇してきたバレエ版とはだいぶ違う話。いったい原作はどうなっているんだと気になって手に取ってみた。なるほど、これはかなり幻想的なお話だこと。ある意味『不思議の国のアリス』よりも手強いかも。澄んだ心の持ち主であるマリーの健気な奮闘と、クルミわりの案内で目指すお城までの不思議な世界がみどころ。いちばん馴染み深いバレエのくるみ割り人形は、実はデュマが書いたものと後から知る。デュマファンとしてはそちらも読みたいところ。2018/12/20
紅香
47
クリスマスだもの色んなこと夢に見たって構わない!人形やお菓子の世界はいつまでたっても色褪せない魅力的な世界。ドールハウスやおもちゃが大好きな人は特に共感できると思う。この小さな素敵な世界に入り込みたいとどれほど願ったかしれない。あの頃の自分を連れ立ってシュタールバウム家の戸棚へ。ドロッセルマイヤーおじさんの手製のもの。絵本。兵隊。人形の家。。小さな道具を見ているだけでそこにいる自分を想像し時間を忘れてしまうような人なら扉はきっと開く。チャイコフスキー作曲『くるみ割り人形』とあわせて読み返したい。2014/12/04