出版社内容情報
ジーンマリーとマルコムは,家の裏の丘で穴を掘ろうとしたとたん,地中に吸い込まれ,落ちた所は元女優の部屋.女優は2人に,ある宝石を探すよう命じ,透明人間として地上に戻すが….
内容説明
ジーンマリーとマルコムは、住宅地裏のエリコの丘で穴を掘ろうとしたとたん、地中に吸い込まれた。そこに住む元女優に、盗まれた宝石を探すよう命じられた二人は、透明人間として地上へもどされるが…。サスペンスに富む謎解き物語。小学5・6年以上。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ゴールドまであと942日
83
とりあえずは最後まで読んだ。少年少女向けだからといって、特に感動や面白かったという印象はない。テレビや映画なら、それなりの面白さもあっただろう。自分の姿が他の人には見えなくなってしまう。あの透明人間という発想である。また昔の大女優が生きていたなんてのもあった。また何かの機会に読んだり、映画などで観ることがあったら、それなりに自分の理解度や小説に対する考え方も向上するかもしれない。なんで、この本を図書館から借りだししたかという疑念さえ湧いてくる。2024/10/19
アルピニア
69
【祝・岩波少年文庫創刊70周年!(2020年)】ジーンマリーは、母親と二人でトレーラーハウスに住む11歳の女の子。群れることが大嫌いな彼女の夢は女優になること。ある日、自分と同じ「鍵っ子」のマルコムとともに地中深く吸い込まれ、亡くなった女優タルーラに出会う。タルーラは、二人にあることを依頼する。ものの見方が全然違うジーンマリーとマルコム。反発しつつも信頼し、協力して依頼を解決していく。二人を子供扱いせず、自分のスタイルを突きつけるタルーラの言葉の数々は、私にも深く響いた。スターになるための条件とは?→2020/05/07
tokotoko
16
9月初の児童書。群れる人達に「クローン人間」と名付けるものの、学校で居場所ができない少女ジーンマリー。亡くなった動物達のお弔いを巡って、マルコムという少年と友達になる。埋めるための穴を掘るうちに、突然、奇想天外な出来事に巻き込まれ・・・。ただ楽しいだけで終わらないのが、カニグズバーグさんの作品だ。夢を持つ子どもをぐんぐん引っ張ってくれる。忙しい大人に楽しい時間をもつことの大事さを教えてくれる。どんなおばあさんの中にも「12歳の部分が生きている」って書いてくれる。私の心にも、小さい勇気の火を灯してくれたよ。2013/09/07
北風
15
エリコの丘はどこにあるんだろう? 現実と地獄の狭間に住む幽霊女優。時代背景が近いので驚いた。なにしろ、エクソシストとか出てきちゃうんだから、いつもよりも時代が近いことに親近感を抱く。目的はかなり個人的なことだけど、狭間の世界のその隙間で、事件の真相を追うのはなんかSFっぽい。ちょっとこまっしゃくれて女優を夢見る少女と、ちょっと生意気で理屈っぽい少年のでこぼこコンビ。今度は現実の世界で、なにかの事件を解決して欲しいな。2019/11/04
おゆ
7
「タルーラ」なんて「パピヨン」よりずっと魔法のにおいがするのに、これは呪文ではなく女性の名前。彼女は煙草と犬と大道芸を愛した才気あふれる女優で、美しくはないが忘れられない顔立ちをしており、肉体が死んでからはラハブの宿に暮らしている。主役の少年少女よりも神秘の宝物レジーナの石を探す冒険よりも、ただこのタルーラの魅力に惹きつけられる。〈クローンたち〉の群れに馴染めないジーンマリーの閉塞感は私にも覚えがあるけれど、移民ゆえの疎外感を持つマルコムの孤独は見えにくい。魔法という見えない世界は彼にこそ必要だったはず。2018/02/25