出版社内容情報
子どもの日常生活におきる,小さいけれど忘れがたい不思議なできごとの数々.『トムは真夜中の庭で』の作者による,夢と現実の世界を行き来する印象的な短篇8編をおさめる.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さつき
78
子供達の何げない日常を描いた短編集。嬉しさにも悲しさにもまだ慣れていないせいか、子供の感情は鮮烈でいつまでも忘れられないものなのかもしれない。自分自身の小さな思い出も胸に迫るようによみがえってきました。子供であった時にいかに寄るべない気分だったか、その心許なさを思い出すと寒々しくなります。同時に、あんな風に胸をドキドキさせ喜び怖がり驚き不思議がることはもう出来ないだろうとも。2021/10/26
syaori
65
作者が住む英国はケンブリッジにほど近い村を舞台にした短編集。週末のキイチゴ摘みなど子供たちの何気ない日常が切り取られますが、水に潜るのを「ぶるっ」ていた少年がそれを克服する瞬間や、自分を尊敬する従弟と彼の珍しいイシガイとの間で自分の「真っ暗な淵のよう」な心を覗き込むことになる少年の心の動きなど、子供の繊細な心の襞が捉えられていてはっとせずにはいられません。ずっと傍にあったニレの老木の伐採を機に新しい遊び仲間を得て、同時に何かを失う「牧のニレの木」、今でもこんな夜に憧れずにはいられない表題作がとても好き。2025/01/31
たつや
42
「トムは真夜中の庭で」の作者の8編の短編集。ファンタジーではなく、トムソーヤ的なイギリスの昔の田舎の子供たちの日常が描かれていて、牧歌的な雰囲気に心癒されました。個人的には「アヒルもぐり」が一番好きでしたが、どの作品も味わいがある雰囲気が好きです。2017/01/18
ほりん
34
子どもはただ無邪気で愛らしいだけの存在ではない。大人が見ていない原っぱや川や、真夜中の台所で、いろいろなことを経験しながら大きくなっていく。中には、いけないことや、危険すれすれのこともある。でもそんな経験から生きていく力を蓄えていくんだろう。思えば自分だって色んことをしてきたのに、自分の子どもには、本当に注意深く、危険なことをさせないようにしてきた。最近、いろいろな壁にぶつかって苦労している子どもたちに、申し訳ない気持ちになりながら、すでに親の出る幕ではない今、見守ることしかできない。2019/02/21
Mizhology
29
2冊目のピアス。登場人物がそれぞれリアルでいい。愛らしい。じーんとくるあたたかさと、しみじみとした懐かしさがあり、すっかりファンになりました。男の子と老人の良さを描くのが本当に上手いと思う。大人の勝手さも。心理描写がリアルで、大げさ過ぎず繊細。『よごれディック』等は、本当に子どもが語ってる錯覚を覚えた。風景描写も含め、子どもの頃を思い出す。ウチの近所では自然は失われてるし、他の意味でも大人の管理の目が行き届くようになっている。今の子ども達は、体ごとの心の大冒険ができているのだろうか?などと心配にもなった。2019/10/18
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