出版社内容情報
岩手のみずからのドリームランドとした賢治の童話集.表題作のほか「雪渡り」「よだかの星」「祭りの晩」「セロ弾きのゴーシュ」など,郷土色豊かな作品を中心に10編を収める.[解説 佐藤通雄]
内容説明
宮沢賢治の童話集。「雪渡り」「よだかの星」「ざしき童子のはなし」「セロ弾きのゴーシュ」「風の又三郎」など、岩手をみずからのドリームランドとした賢治の作品の中から、郷土色ゆたかなものを中心に10編を収める。小学5・6年以上。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
NAO
71
宮沢賢治は独特のオノマトペが魅力だが、『風の又三郎』のオノマトペはその中でも最高のものではないかと思う。一度聞いたら忘れられない「どっどどどどうど、どどうど、どどう」は、風の強さだけではなく不気味さまで見事に表している。風そのものの表現も巧みで、牛の放牧場で突然吹き荒れる風、校庭を通り過ぎていくつむじ風など、東北地方の普段の生活に風がいかに密着していたかがよく分かる。風を擬人化した又三郎なる少年の妖しさ、きらきらした感じ。子どもの頃に、一度会ってみたかった。2015/09/03
NAO
56
『風の又三郎』のオノマトペは、賢治が作り出したものの中でも最高だと思う。「どっどどどどうど、どどうど、どどう」は、風の強さだけではなく不気味さまで見事に表している。風そのものの表現も巧みで、牛の放牧場で突然吹き荒れる風、校庭を通りぬけるつむじ風など、東北地方の生活に風がいかに密着していたかがよく分かる。風を擬人化した少年は、妖しくきらきらしているが、不穏で、子どもたちを不安にさせる。初夏から秋にかけての子どもたちの日々に突然現れた転校生は子どもたちにとってまさに「吹き抜けていった一陣の風」だった。2025/07/15
たつや
49
多分、再読だけど、記憶にない。あーこんなんだったっけ?の連続。正月に読んでいがっだ。こたつと火鉢が欲しい。巻きストーブも炊きたいし、焚き火もしたくなる。不思議な作品。2017/01/04
michel
24
★4.0。『風の又三郎』懐かしい。”どっどど どどうど どどうど どどう” まだ私の中にも純粋な童心があるのか。『セロ弾きのゴーシュ』初読。宮沢賢治の弱者に寄り添う視点が優しい。また、目に見えないモノを描写するオノマトペや効果音が楽しい。2017/10/23
riviere(りびえーる)
18
『雪渡り』が読みたくて手にとった。今のような極寒の季節になると読みたくなる。「雪がすっかりこおって大理石よりもかたくなり、空も冷たいなめらかな青い石の板でできているらしいのです。」 岩波少年文庫で読むのは初めて。ひらがな多くゆったりとした活字の組み方にしてるけど、子どもたちには分かりづらいでしょう。それでも読んで欲しい宮澤賢治。タイトルの『風の又三郎』を含む10篇の短編集。やっぱり『風の又三郎』はいい!出てくる子どもたちが幸せそうだ。2020/01/17