出版社内容情報
「いないいないばあ」の遊びを繰り返すうちに,幼い橙子は,いるとか,いないとかいうのはどういうことなのかに思いいたり,急に恐くなる.子どもが感じる恐れや不安を日常や遊びのなかに描き出した意欲作.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
たつや
42
相当なふざけたイメージの児童書だと思っていたら、作者の自伝的作品で、シリアスでした。また、詩的なところも多く、時代の違いか?共感できるところが少なかったので、世界にはのめり込めませんでした。2017/02/10
がらくたどん
19
「私も、ウーフと同じようにいつもわからないんですよ、いろんなことが。私も、いつも、どうして? どうして? って考えているんです。」出版社のサイトで「ウーフ」50周年記念のインタビューを読んだとき神沢さんは大人になっても「分かったふり」をせずに「どうして?」の気持ちを持ち堪えていられる方なんだと思った。トッコちゃんの知っていることはまだチョッピリで分からない事は楽しみでもあり怖くもある。「いないいない」の先だってホントはいるのかいないのか。それでも世界の隙間を一生懸命想像力で埋めて世界を見つめて生きている。2021/11/25
たぬ
14
☆4 これは新鮮。幼児が主役の話は大抵は頬を緩めながら読むのが常だけどそういうのとは別タイプ。幼児は大人どころか小学生でも予想だにしないことで怖がる、立腹する、信じ込む。エピソードがどれもこれも愛おしい。読んでいたら留守番中に初めて一人でパンをトースターで焼いたら真っ黒こげになっちゃって、悔しさと不安で号泣したことを思い出した。たしか6歳、燈子(字面も響きもとこちゃんってあだ名もすごくかわいい)より少し上。2024/12/11
絵本専門士 おはなし会 芽ぶっく
11
岩波少年少女の本 https://bookmeter.com/books/2549285 で探したのですが、少年文庫で再版されていたのでこちらを。5年生のブックトーク授業用に、とは表向きで自分が読んでみたかったので(;^_^A 表題の『いないいないばあや』ゾクッとする怖さがありました。橙子(とうこ)ちゃんを主人公とする短編15話。神沢さんの自伝的童話だそうです。『 いないいないばあや / 馬鈴薯と目 / 白いジャケツの男の子 / あほう鳥とくじら / りんごの木 / 青空と少年 / たまご / 熊 →2020/12/21
joyjoy
5
手鏡は使わなかったけれど、とこちゃんと同じように、天井を床に見立て、逆さの世界に入ってみたことがあったなぁ。ベンチのような梁に腰掛けてみたり、鴨居の上を平均台のように歩いてみたり。寝っ転がったまま、いくらでも想像の世界で遊ぶことができた、私はいくつくらいだったんだろう。たまに帰ってくる父に甘えるのはちょっと気恥ずかしくて、でもその腕にぶら下がって「高い高い」をしてもらうのは嬉しかったな。自分の子ども時代のことをあれこれ思い出す。今まで自覚はなかったが、幼年のなかに、たしかに人間の核があるように感じた。2021/12/30