出版社内容情報
バラ模様の古い缶におさめられた少女の肖像画にはTRIのサインがあった．偶然みつけた墓石にも同じ頭文字が．ティムは肖像画と頭文字の関連を追ううち，60年前の事件にたどりつく．
内容説明
バラの花模様の古いビスケット缶におさめられた少女の肖像画にはＴ・Ｒ・Ｉのサインがあった。そして墓地で偶然みつけた墓石にもＴ・Ｒ・Ｉと記してあった。ティムはショックを受けた。Ｔ・Ｒ・Ｉはティム自身の頭文字でもあるからだ。肖像画の少女とＴ・Ｒ・Ｉの謎を追うティムは、６０年前のある事件につきあたる。ミステリータッチの青春小説。中学以上。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
じょうこ
13
古い家に隠されていた絵から自分と同じイニシャルをもつ60年前の少年と繋がってしまうというワクワクの設定。パラレルに話は進み、どちらの時代でも対となる女子(少女という言葉が何となくそぐわない)の存在が少年をいい意味で揺るがす。一方、両親や校長、雇主など大人からの圧力、母親の過干渉による強いダメージが描かれる。特に現代(1970年ですが)の少年。その心理描写、行動描写がとてもいい。最終的には、少年は自力で大決断をし自立するのだが、ある種この本は「仕事」本、自分は将来どう生きるかを考えるきっかけになる本かも。2021/04/22
joyjoy
9
メイ嬢とレベッカ、牧師の娘である二人が、まったく違うようでいて、どこか似ているのが、面白いな、好きだな、と思った。 過去の人物と出会うこと。「一つの生命が形づくられる前には、さらに別の生命が存在した、だから自分に与えられた可能性を、あくまでも追及していく義務があるという気持ち。一人の人間は、その人の生まれる以前に起こったすべての上に築き上げられたものだから。…」ティムはトムと出会って気付く。だれもが、知らぬ間に、過去の誰かと出会い、気付きを得ていることがあるかもしれない、と想像して、ちょっとワクワク。2024/06/07
ヴェルナーの日記
7
ミステリー仕立ての、ダブルプロットの物語。主人公ティムは、親の敷いたレールのような人生に嫌気がさしていた。しかし、自分自身、どのような道を選ぶのか決まらないでまま、ただ漠然とした日々を送っている。そんな時、母親の気まぐれで田舎のコテージに住むことになる。長らく放置されていた家をリホームする中で、古いビスケット缶を見つけ、中にはイニシャル入りの数枚の絵があり、そのイニシャルが、自分と同じ、Ｔ・Ｒ・Ｉだった。この絵を書いた人物を探し出すことから物語が、ダブルプロットで始まる。2014/04/20
HISA
4
☆☆☆☆なんとも切なくやるせなく、いたたまれない気持ちになった。昔は牧歌的でよかったような気はするけれど、貧困があり越えられない身分の違いがあった。ネティの無邪気さが腹立たしかったが、あの事件の後独身だったことを考えると彼女もまた傷をおった被害者なのだろう。トムの思いきりのよさにびっくり。一生懸命自分の道を進んでほしい。2022/11/10
mahiro
4
ペイトンさん一気読み・・フランバーズのシリーズより好み。グリーンノウシリーズに通じるものがあるけれど、グリーンノウの方が好み2009/06/22
