出版社内容情報
古き良きワルシャワを舞台に,ユダヤ人の少年が貧しいながらも好奇心をかかえて成長する姿を静かなユーモアをまじえて描く,ノーベル賞作家シンガーの少年時代を語る自伝的作品.
内容説明
少年はある日、小遣いを全部つかってみようと思った。辻馬車に乗り町を一巡りし、子どもたちにキャンディーをおごりもした。お金持ちの王さまの気分。だけど、何かが心にひっかかる…。古き良き時代のワルシャワを舞台に、大人になることへの好奇心とおそれをいだく少年の姿を愛情深く静かなユーモアをまじえて描く、ノーベル賞作家シンガーの自伝風物語。小学上級以上。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
たつや
49
作者の少年時代の自伝的短編集。緩く笑えるものからじわっと来るものまで、様々ですが特に、ユダヤの血が流れていることを考えると、重くなるけど、信仰心を大事にする民族の日常が深く興味深い。インサートされているモノクロ写真を見ると、当時の雰囲気が伝わるから不思議だ。2017/02/02
Nobuko Hashimoto
24
第一次大戦前後のワルシャワのユダヤ人の生活の様子がわかる。1930年代後半の写真も載っていて雰囲気を伝えている。作家シンガーの父はラビだが、実入りは少なく、一家は家賃を払うのも苦しかった。その一家が住んでいたのがクロフマルナ通り。この通りにはコルチャック先生が1911年に開いた孤児院もあった。コルチャックは著名人だったので同時代人のシンガーも知っていたと思われるが、残念ながらこの本には出てこなかった。/この当時はアジア人は劣等に見られてたのだなあとわかる一節あり。2019/02/22
花林糖
18
第一次世界大戦前にワルシャワのユダヤ人街で、少年時代を過ごしたI.Bシンガーの自伝風連作短編集。ユダヤ教会のラビ・風習など馴染みがないことばかりだけれど興味深く読めた。特に印象的だったのは「洗濯ばあさん」と最後の「ショーシャ」。2017/06/30
twinsun
11
こども目線を美しく振り返ることのできる本だ。こうした年齢の時があった、自分もこう感じていた時があった、世界はこんな風に見えていたんだと。そして、著書の時代、ユダヤ人のおかれた立場、ポーランドの立ち位置、この時代の風物と人々の生き様がまるで自分がそこにともに住むかのように生き生きと描写されている。土臭く暖かかみがあるとともにどうにもならないことがたくさんあるからこそ輝く日々。“よろこびの日”の散財は微笑ましく、“洗濯ばあさん”の正直な生き様は英雄的だ。もう一つのクオレを見つけた。2022/11/28
tsubomi
11
2017.04.17-05.20:ポーランドで少年時代をすごした作家シンガー。ユダヤ教会のラビの家に生まれ、清貧の生活ながら信仰に基づく精神性豊かな教育を受けて育っていく過程が物語風に語られていて、ユダヤ教のしきたりや大事にしていることなどを解説を読みながら少しずつ教わった感じがします。友達と一緒にいたずらしたりほかの宗教の本を読んで親を困惑させたり、子供らしい笑える楽しいエピソードあり、社会が暗く重く生きにくい世に変わっていく予兆を感じさせるエピソードあり、多彩な内容。洗濯屋のおばあさんの話が印象的。2017/05/20
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