出版社内容情報
寒い夜、子どもが眠りにつくと、お母さんは仕事でそっと家を出ていきます。「どうか朝がくるまえに世界をかえて」子どもの願いを詩でつづり、雪で一変した世界と、憩いのひとときを描く、美しい冬の絵本。
内容説明
どうか一度だけ世界をかえてください。願いと祈りの絵本。
著者等紹介
シドマン,ジョイス[シドマン,ジョイス] [Sidman,Joyce]
作家、詩人。コネチカット生まれ。夜の動物たちをうたった『Dark Emperor and Other Poems of the Night』でニューベリー賞オナーに選出された
クロムス,ベス[クロムス,ベス] [Krommes,Beth]
画家。ペンシルヴァニア生まれ。美術教師を経てイラストレーターとして活躍。スクラッチボードと水彩を組み合わせたスタイルが特徴的で、『よるのいえ』(岩波書店)でコールデコット賞を受賞
さくまゆみこ[サクマユミコ]
翻訳家。東京生まれ(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
けろりん
65
ごく短いセンテンスを、厚手のゴブラン織りを思わせる、温かみのある装画がそっと包み込む、美しい絵本です。緻密に描かれた装画を一葉一葉、丹念に見つめる内に、ページから物語や、願いや、祈りが湧き上がり、世界を一変させる朝の奇跡を呼び寄せます。表紙、裏表紙から、本文、奥付け、隅々まで、仕掛けと魔法が行き渡った本書。静かな夜にゆっくり楽しみたい一冊です。2022/01/14
とよぽん
55
「どうかおねがいです。一度でもいいから」「あさがくるまえに世界をかえてください。」という言葉に、作者の深い祈りを感じた。北の国、花のような雪の結晶、スクラッチボードと水彩を組み合わせた絵に、雪景色ながらもどこか温もりが感じられた。不思議な魅力を持つ絵本。2021/06/07
ちえ
43
<ふかい闇につつまれて ねむっているあいだに…>一晩のうちに町は雪のベールをかぶり願いはかなう。言葉とスクラッチボード絵が互いに重なり、ため息が出るほど美しい絵本。<私たち人間は、体をいやしたり、魂を強めたりするために。何千年ものあいだ、まじないや祈りをとなえてきました。その効き目はあったでしょうか?たぶんね。声に出して唱えることは、何かをおこすための第一歩なのかもしれません。>(作者シドマンのあとがき「ねがいと言葉の力」)リクエストに図書館が購入してくれた絵本。素晴らしい。これはぜひ自宅に置きたい。2021/05/08
シュシュ
36
この本の挿し絵にとても見入ってしまった。文が少なく、絵が物語っている本。思わず何度も繰り返しページをめくった。雪におおわれて、音もなく時間さえも止まってしまいそうな風景が描かれていた。そんな中で少女の小さな願いがかなう。日常の中の小さな幸せを感じた。この挿し絵を描いたベス・クロムスの絵本をもっと見てみたくなった。2019/02/24
ベル@bell-zou
29
雪が時間ごと静けさを包んでいく。まるで願いが大切に届けられるよう祈るみたいに。目覚めたとき変わればいいと願うのは希望を信じているから。(明日の朝なんて来なければいいと絶望するのとは反対に)。街を行く人、雪かきをする人、出発ロビーにいる人。大切な誰か、待っている誰か。ひとりひとりの、たくさんの思いが温かく胸に満ちる。“まいあがるものと、まいおちるもの”、落ち葉と雪が舞うページが好き。2023/01/21