出版社内容情報
ドイツの昔話や伝説の収集家ベヒシュタインの童話は,19世紀後半にはグリム童話と共に子どもたちに好まれた.1960年代に再評価され始めた童話の中から代表作を初紹介する.
内容説明
森で道に迷った王さまを救い出したのは小人でした。小人はそのお礼にと、あるものを欲しがりましたが…。ドイツの昔話や伝説の収集家ベヒシュタインの童話は十九世紀後半の子どもたちにグリム童話と同様に好まれました。1960年代に再評価され始めた童話集より代表作十編を日本ではじめて紹介します。小学上級以上。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
NAO
44
グリム兄弟より少しあとに生まれたベヒシュタインが収集した童話10編。ベヒシュタインは伝説と昔話をきちんと区別し、昔話の再話にあたっては子どもに語るのに適さないと思う部分は省いたり教育的な言葉を挿入したりと、かなり自由に手を入れた。そのためか19世紀後半ドイツではグリムよりよく読まれ今でも愛読者が多いそうだが、日本ではあまり知られていない。『白いオオカミ』の10編中7編は魔法がらみの話。魔法で人間以外のものに変えられてしまう話や魔法使いの新旧交代の戦いなど。2025/04/29
たつや
44
純粋に面白く、読めて良かったです。お気に入りは「白いオオカミ」「もてなしのいい子牛のあたま」が好きです。魔法が普通にあり、なにかをsすると魔法が解けるという流れは素晴らしい。2017/01/23
絵本専門士 おはなし会 芽ぶっく
9
18日の5年生のブックトーク授業ように選本。『冬休みに読む長めの本』のリクエストがありました。今回は岩波少年文庫から多めに選本。グリム童話に類似したドイツの10話の童話。『 白いオオカミ / もてなしのいい子牛のあたま / ねがい小枝をもった灰かぶり / 魔法をならいたかった男の子 / おふろにはいった王さま / ウサギ番と王女 / 魔法つかいのたたかい / ウサギとキツネ / 七枚の皮 / 明月(めいげつ)』 読み比べが楽しいおはなしばかりでした。 2020/12/17
らららん
5
聞いたことのあるような話でも、結末がちがっていて楽しめました。魔法つかいのたたかいは、クラバートの中にこんな話あったなーとか、灰かぶりの話はシンデレラと違うところが多いな~とか。グリム兄弟の童話と比較してみるのもよいかも。2016/06/15
がんぞ
4
グリム兄弟と同素材だが、書き下ろす語り口が違い人生観として残るものがある/表題作は父である王の短慮で“顔も見ない相手”に与えられた王女が、“気が進まない”相手と結婚式の最中の黒い小人の花嫁チェンジに応じたことで魔法が解けた…婚姻は天上で決定される運命との教え?/…子牛の頭』は頭が良いのが成功の条件ではない/『願い小枝』では娘に父親は全財産と命と魂も捧げて死ぬ/『魔法…男の子』では女の恋情にまさる力はない/ルカ伝の言葉を抹殺しようとした王様はよって立つアイデンティティーを喪った/単純なハッピーエンドではない2019/11/10