内容説明
1940年6月のある朝、H.A.レイとその妻マーガレットはドイツの軍隊が攻めてくる数時間前にパリを脱出した。それも自分で組み立てた自転車に乗って!わずかな荷物のなかにあったジョージの原画が絵本になるのは、翌年アメリカでのこと。ふたりの生い立ちや奇跡の逃避行を、日記や写真、イラストをまじえてたどる大型絵本。
著者等紹介
ボーデン,ルイーズ[ボーデン,ルイーズ][Borden,Louise]
アメリカの児童文学作家。デニスン大学で歴史学を専攻した。ノンフィクションを中心とした絵本作品が20冊以上ある。現在、オハイオ州在住
ドラモンド,アラン[ドラモンド,アラン][Drummond,Allan]
イギリス出身のイラストレーター。ジャーナリストとして働いたのち、ロンドンでグラフィックデザインやイラストレーションを学ぶ。雑誌『ニューヨーカー』『タイム』などの仕事から絵本の創作まで、幅広く活躍している。現在、アメリカのジョージア州在住
福本友美子[フクモトユミコ]
慶応義塾大学文学部卒業。公共図書館勤務をへて、現在はフリーで児童書の翻訳、書評、選定などで活躍(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
oldman獺祭魚翁
50
世界一有名なおさるのジョージ。日本では「ひとまね子ざる」で知られる作品群を描いたH・A・レイ夫妻の半生を絵本の形で描いた楽しい本。 誰もが子どもの頃目にした黄色の表紙と愉快な絵。描いたのはドイツ系ユダヤ人だった、ハンス・アウグスト・レイヤーズバッハと奥さんのマーガレット。二人が大戦中ドイツの電撃戦から逃れ、如何にしてアメリカにたどり着いたかを、絵本の形をとりながら、豊富な写真と軽妙な挿絵で描いている。子どもの頃夢中になった子ざるは、戦火をくぐり抜けてきたのです。2021/03/04
ぶんこ
42
戦時下でドイツ生まれのユダヤ人だった夫妻。悲惨な結末の多いユダヤの人々の中で、先を見通す目があったということなのでしょうか。南アフリカでブラジル国籍を取得したと軽く書かれていましたが、その経緯をもっと知りたかったです。とにかく運が良いご夫婦だったとしか言えません。夫のレイ氏が手帳に日々の出来事、お金の収支をメモしていた事、沢山の絵や写真を残した事が役に立っているのを知って、レイ氏がメモ魔の人で良かったです。2019/08/17
gtn
28
読友さんのご紹介で本書を手に取る。その作風から、レイ夫妻を勝手に大国主義のアメリカ人と思い込んでいたが、ナチスの侵攻をかろうじて潜り抜けたユダヤ人だったとは。ジョージシリーズのイメージが一変する。ジョージはどんな困難な環境や状況にも負けるな、明るく笑い飛ばせと訴えていたことが分かる。2020/01/25
Nobuko Hashimoto
27
「おさるのジョージ」の作者H.A.レイとマーガレット夫妻は、ドイツ生まれのユダヤ人で、第二次世界大戦時に欧州からブラジル経由でアメリカに逃れてきたのだった! ていねいにつくられた伝記絵本。妻マーガレットはバウハウスや芸術大学で学んだが文筆の方へ。夫ハンスは幼少期から絵が好きで正規の美術教育を受けたわけではないというのもなんだか面白い。苦境を逃れ生き延びることについて、いろいろ考えるところあり、ブログに記録。https://chekosan.exblog.jp/30471468/2021/03/27
シュシュ
22
『ひとまねこざる』の作者レイ夫妻がユダヤ人だったとは知らなかった。二人が住んでいたパリにナチスが入ってきて、自転車でパリを脱出する。身の回りの物を少しと『ひとまねこざる』の原稿を持って…。大勢の人がパリを出ようとして大混雑する中を3日間自転車をこいだ。その後列車でポルトガルまで行きリスボンから船でアメリカへ。この本は絵本だからさらっと書かれているが、もっと詳しく知りたいなと思う。『ひとまねこざる』は、私もうちの息子たちも小さい頃好きだった本。レイ夫妻がアメリカに渡ってから出版された。2015/06/09