内容説明
悪夢のような嵐にあって船が難破、必至に泳いだあげくたどりついた島は小人の国リリパット。本書は、現代イギリスの鬼才マーティン・ジェンキンズによるダイジェスト版で、原作の要点と味わいを完全に収めながら、誰にでも読みやすく圧縮したものである。クリス・リデルによる斬新な挿絵も添えられている。
著者等紹介
リデル,クリス[リデル,クリス] [Riddell,Chris]
1962年、南アフリカ生まれ。イギリスのイラストレーター。「オブザーバー」等で、政治風刺漫画を描いている。リチャード・プラットとのコンビによる『中世の城日誌』と『海賊日誌』がよく知られている。(『海賊日誌』はケイト・グリーナウェイ賞受賞。2冊とも、岩波書店刊)。ブライトン在住
原田範行[ハラダノリユキ]
1963年生まれ。慶応義塾大学大学院、ケンブリッジ大学を経て、現在、杏林大学教授。博士(文学)。専門は18世紀イギリス文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
そのじつ
13
小人の国から馬の国まで。さまざまな作品の出典となっているであろう本。どの話もイギリス人社会への強烈な風刺がこめられていて、読み応えがあったが、最後のフウイヌムとヤフーの住む国が強烈だった。唯一グラブダブドリッブで亡霊を呼び出し議論させ合う場面は愉しそうだった。私もぜひホメロスやアリストテレスの話を直に聞きたい。不死人間ストラルドブルグの描写も強烈で印象に残った。ガリヴァーを読むと、一般的に好ましいとされている事が醜悪に、野蛮だと思われていることが立派に思えてくる。へそ曲がりの物語だ。2013/09/24
Naoko
6
知っているようで知らなかったガリヴァー旅行記。小人の国だけではなく、巨人の国や空飛ぶ島など、様々な国へガリヴァーは漂着していた。日本へ行くという件ではエドやナガサキといった地名が出てきて急にリアルになった(笑)作者は300年も昔の人物なのに、自由な発想と世の中を的確に批判する視点を持っていたことに驚かされた。2014/10/10
スプーン
3
ガリヴァー旅行記の圧縮絵本です。絵は好き嫌いが別れるところと思いますが、話の内容は面白いですねー。人間社会への皮肉と風刺にあふれている。これは名作だわ。絵が好きではなかったので、星は4で。2013/05/06
ヒラP@ehon.gohon
3
ガリバー旅行記って、概要はよく知られているけれど、まともに読もうとすると結構難しいお話だと思います。 この絵本にしても、内容はかなり複雑で、文章だけを読んでいると、だんだんと息切れしそうです。 でも、この絵本は絵というよりもイラストが満載で、いつの間にか読み終えていました。 クリス・リデルの絵がとても素晴らしいと思います。 2014/03/26
ドラン3世
2
オールカラーで非常にわかりやすく異国人を表現していました。人間とはなんとも醜く愚かな種であると断言している作品です。前半2作はいろいろな作品で登場しますが、後半2作は子供向けに読まれるような夢物語ではなく、パンチの効いた批判が多くありました。馬人間にかなり傾倒していたようですが、悪意が存在しない世界というのはやはり理想であり、人間世界が続く限り馬人間のように穏やかに過ごせる事はないのかと考えさせられました。2012/06/17