出版社内容情報
船乗りシンドバッドは,鯨の島とダイアモンドの谷へ.細密画のように繊細で,タペストリーのように華麗な絵で楽しむ,「ギルガメシュ王ものがたり」の作者によるアラビアンナイトの絵本.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
368
作者(文・絵)のルドミラ・ゼーマンはチェコに生まれ育ち、その後カナダに移住。「セサミ・ストリート」の製作にも関わったらしい。「セサミ」はまさに"Open sesame"のセサミ。アラビアンナイトの世界とは縁の深い人なのだ。巷間よく知られた物語だが、本書は船に乗り込んだシンドバッドのごく最初の冒険だけ。後はまた明日…で終わっている。冒頭にシェヘラザードの物語が置かれていたのもこのためだったか。心憎い終わり方だし、続編を読みたくなること必定。絵は「ペルシャの手書き本」の様式を取り入れたというムード溢れるもの。2022/12/01
Hideto-S@仮想書店 月舟書房
74
知力に長けたシェヘラザードが残虐な王から生き延びるため、千一夜にわたって語り聞かせた冒険譚『アラビアン・ナイト』。この物語がどこから来たのか、はっきりとは分かっていないそうです。その中でも『アリババと四十人の盗賊』『アラジンと魔法のランプ』と並び有名なシンドバッドの冒険。『ギルガメシュものがたり』三部作を描いたルドミラ・ゼーマン氏が、壮大な物語を三冊の絵本にしています。功を成した船乗りのシンドバッドが、貧乏な荷担ぎのシンドバッドに語るという設定でクジラの島、巨大な怪鳥、ダイヤモンドの谷の冒険が描かれます。2015/05/25
鱒子
66
図書館本。森見登美彦氏の「熱帯」に触発されて。本家アラビアンナイトはいろんなバージョンがあり、しかもいずれも超長すぎるので、このシンドバット絵本を選びました(この絵本作家さん、ギルガメッシュ3部作と同じ方だったとは!) 。アラビアンナイトと同じく、この本にも続きが知りたくなる魔法がかかっています。それにしてもターバンって便利!2019/02/01
紫陽花と雨
33
実写版「アラジン」を観て以来、アラービアンナ〜イ♪の歌が脳内を駆け巡り過ぎていますが、本家アラビアンナイトで知っているのはこの絵本のシンドバッドのお話とアリババとアラジンと魔法のランプくらい…本当はシンドバットは7回も航海に出ているのでこの絵本、続編もあるそう。ペルシア絨毯を意識したと言うだけあって雰囲気のある絵が美しかったです。クジラもロク鳥も迫力満点!ディズニーシーのシンドバッドのアトラクション怖くて可愛いのにリニューアルしたみたいだけど、昔の怖い方が本当のお話なんだよなあ、とか思い馳せたりしました。2019/07/02
gtn
31
確かに続きが聞きたくなる物語。シェヘラザードが語る奇譚を、王様が一夜たりとも聞き逃すはずはない。千一夜も語り続ける彼女。おかげで人間不信から脱却できた王様。すべて、彼女の揺るぎない一念と絶え間ない行動の賜。2023/03/01