出版社内容情報
主人公の青年アクイラが,去っていくローマ軍団を脱走,故郷の島に残ることを決意したことから,息づまるばかりの人生ドラマが展開する.意志を貫いて生きることの美しさを語る,カーネギー賞受賞作.
内容説明
若い軍人アクイラが、いよいよ衰退したローマが四百五十年もの歴史に終止符をうち軍団をブリテンから撤収する時、軍団に加わってローマに中世を尽くすか、自分の家族のいるブリテンにとどまるかその選択に苦しんだあげくついに脱走し、その後蛮族に父を殺され、妹をさらわれるなど、苦難の数々を経験する物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ほりん
31
【フィリパ・ピアスとローズマリ・サトクリフを読む】2世紀の初め、ブリテンはローマ帝国の属州となった。その後、ブリトン人はローマ化されていき、ローマ軍団もブリトン人と同化していった。一方、北方のケルトは抵抗を続け、3世紀にはサクソン人も侵入するようになる。5世紀、ローマ軍団は本国への撤退を命じられるが、地方軍団の指揮官だったアクイラは、軍を脱走し、家族のもとに留まる。しかし、混乱の中、家族を失い、囚われの身となる。ブリトン人同士の確執、サクソン人の脅威、家族の崩壊…複雑な歴史に、心の物語が織り込まれている。2019/02/07
ムーミン2号
10
サトクリフさんの「ローマン・ブリテン4部作」の3冊目(1959)。ローマがブリテンから撤退し、サクソン人が略奪の手を伸ばそうとした時、ブリテン人が死守した250年のその初期にあたる歴史を、著者の想像力の翼をつけられたアクイラという若者の挫折と逃亡と孤独と活躍と、そして人々との真の交流とを通して描いている。襲撃されたアクイラ一家でサクソン人に攫われた妹、そしてその息子、結婚後も距離を置きながらも少しずつ寄り添う妻、そして息子との血と心の通いが物語の枠組みと見事にハマった、そして実に雄渾な作品だ。2017/11/19
マッピー
9
ブリテンにおけるローマ正規軍が撤退してから40年。最後のローマ地方軍団も撤退が決まります。主人公のアクイラは、最終的に軍を脱走して故郷に帰ります。しかしアクイラ一人が残ったところで敵の侵略を止めることができるわけはなく、父は殺され、妹はサクソン人にさらわれ、自分は別のサクソン人の元で奴隷になってしまいます。 アクイラが生き延びるための心の支えは、妹との再会と裏切者への復讐。重たい物語でしたが、読後感はとてもいいです。アクイラは自分の人生に誇りを持って生き、それが報われるような終わり方でした。大満足です。 2016/09/19
ささ
7
読み終えた直後の感想は「すごい物語を読んでしまった (゚Д゚) 」でした 。 この重厚感、ドラマ性の高さ、文章の美しさを言葉で伝えようとしても、私の稚拙な表現力では追いつきません! 続き https://kodomonohonnnomori.hatenablog.com/entry/2020/01/31/210347?_ga=2.82781142.1528544224.1580470931-121216518.15412876222020/01/31
まる
5
1960年代に出版されたイギリスの青少年向けの歴史小説。イギリスの歴史が非常に複雑な事は漠然とした知識があるのみ。自分の中にある複雑な歴史に初めて目を向けるアクイラ。国を守るとは何?家族の絆とは何?統治者とは何?全てを受け入れ癒すニンニアス修道士。読み手に様々な問いかけをする物語を若いうちに読む青少年達は幸せである。イギリスの児童文学の豊かさにはいつも最敬礼をしたくなる。2017/08/18
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