出版社内容情報
ある年の9月,寒波が襲ったアラスカ北岸に275人の捕鯨船員が孤立した.もり打ちジャーヴィスは,医師とただ2人,嵐の氷原を横断して救出に向かう.厳しい大自然の中で生きる人間の葛藤を感動的に描く.
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ケニオミ
19
日経新聞で池澤夏樹氏が紹介していた一冊です。冬が早く来てしまったアラスカで雪に閉じ込められた捕鯨船乗組員(?)。大統領から救助の要請が出ているにもかかわらず、身の危険を感じ、誰もが救助に出向くことを断る中、食料を運ぶことにした一人の船乗りのお話です。彼の熱意に賛同(感動)して途中で少しずつ協力者が現れるようになります。さて、閉じ込められた人達が餓死してしまう前に、食料を届けることができるのでしょうか?子供向けの本ですが、自分の命の危険を顧みず、見ず知らずの人のために働く。感動しました。お薦めします。2020/11/07
カラスノエンドウ
14
アラスカの氷に閉じこめられた船員275名の救出に、名乗りを上げたジャーヴィス。襲いかかる苦難にも決して負けない彼の信念の強さ。そんな彼を突き動した先人、エスキモー=ジョーの勇気と行動。他人の命を守るため、極寒の地を進む彼らの姿が心に刻まれました。これは実際にあった出来事だそうです。自然の厳しさと気高く尊い人間の物語。読後の余韻が今も残っています。 2021/01/30
ぱせり
9
暗い、冷たい、広大な土地の上で、何を成し遂げ、何に負け、何を諦めたのか。その時、その先には、何もないのか。何かがあるのか。一人一人の人間がより鮮明な浮彫になってくるようだ。物語は、容赦ない。厳しい。だけど、それでも(それだから?)くっきりと立ち上がってくるのは人間への信頼、希望。2021/06/23
あんこちゃん
6
雪と氷の世界。寒さと飢え。幾重にも重なるストーリー。流氷に閉ざされ動けなくなって死を待つばかりの船を救いに行く、というのがあらすじであるが、差し込まれる横道の話の細部もすごい。メインストーリーを離れてることを忘れる。人としてどう生きるかを突きつけられる。読んでよかった。2024/11/26
takeakisky
5
小学生の頃父から与えられたが、読み通すことがむづかしい本だった。 池澤夏樹が紹介しているのを目にして、どうしても再読したくなり、家中探したもののやはり見つからず、ちかくの図書館で借り出しました。 翻訳の古さを割り引いても、こども向けの本ではないですね。地理的な感覚、それぞれの人物のエートスみたいなものが理解できないと面白く読めないでしょう。 わたしは、やっと面白く読むことができました。2021/08/22