出版社内容情報
きつねの子が「漁師とおかみさん」という本をひろって,さっそく読んでもらいました.グリム童話(池内紀訳)のはずですが,父さんぎつねが勝手に作ったお話は,どうやら日本のおとぎ話に似てきました.
内容説明
きつねの子が、グリムの絵本をひろいました。上段で、その絵本を紹介し、下段で字の読めないきつねのおとうさんが勝手につけたほら話をお聞かせします。グリムのお話とパロディーが両方たのしめる、ぜいたくな絵本です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
sui
17
貧しい漁師はある日、大きなひらめを助けてやります。その話を聞いたおかみさんは「頼みごとをしてこい」と、漁師に言うのですが・・・グリム童話を安野さんの絵で読むとまた雰囲気が変わります。人間の欲深さ。満足できずどんどんエスカレートしていくおかみさん。次第に荒れ狂っていく海。それにも気付けない人間は何て愚かなんだろう。そう思いながらも、私もおかみさんの立場になったら・・・それがこのお話の怖いところかな。2017/07/06
つき
11
どんな内容なのか、ずっと気になっていた絵本。開けば納得してしまう。 色んな読み方を楽しめる絵本だと思う。 グリム童話の方は、おかみさんの底なしの欲望にひいた。2017/08/10
takakomama
7
子ギツネが拾った本を父さんに読んでくれと頼んでも、父さんは字が読めません。父さんは絵に合わせて必死に物話を作ります。グリム童話と、父さんの物話が同時進行。漁師のおかみさんは欲深いです。その欲望は際限がなく、願いが叶っても満たされません。子ギツネは、お話はどうでもよくて、お父さんのそばにいられて満足です。 2022/04/10
ツキノ
7
グリム童話に「漁師とおかみさん」という話があるとは知らなかった。同時進行で、きつねのおとうさんがきつねに絵だけ見て話すおはなしがおもしろい。「うらしまたろう」もどきの創作。絵だけ見たらまさにその話、という気がしてしまうマジック。誰の、ってやはり安野さんの、でしょうね。2017/05/19
ヒラP@ehon.gohon
3
グリム童話の『漁師とおかみさん』も、絵だけを見ていると違った物語が作り出せる。 ちょっと強引なきもするけど、キツネさんが一生懸命編み出した物語にはとても味が有ります。 子どもにせがまれてとっさに即興的に作り話を語ったころが思い出されます。 安野さんの絵も意識的に描かれていて、『漁師とおかみさん』の物語を語るには装飾的です。 肝心のグリム童話の方は、影が薄くなってしまいました。 2013/12/02